810■■ 朝の光
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朝日から間もない朝の光は白いようで実はまだ黄色味を帯びている。
だが、障子越しの光が少し黄色く見えるのは障子紙の影響もあると思い、その微妙な色味に気付かずにいた。

それは写真家・平山忠治の撮影時の逸話が記憶の底で錯綜していたせいもある。
朝早くやって来て平山は建物全体を隈無くゆっくりと見て歩き、その時頭に焼き付けたアングルに最も相応しい光が来るのをじっと待ち、その瞬間が来るや徐にシャッターを切り、そして再び次の光の到来の瞬間をじっと待つという話だ。

それをどう勘違いしてか、朝の光で写真を撮るのが良いと思い込み、黄色味を帯びた光の後に来る朝の冴えた光のことに頓着しないでいた。
そのことをまだ黄色味を帯びた朝の光が気付かせてくれた。

随分とカメラマンは知っているが、今だ平山忠治のような写真家に出会ったことはない。
記憶の底に眠っていた平山忠治の撮影術を思い出させてくれた朝の光に感謝したい...。

by finches | 2012-02-01 04:15 | 記憶


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