まるで冬の力を脳裏に刻印しようとでもするかのような突然の寒さと雪に戦いた。 だが、日の光と土の中の微かではあるがその熱が、雪を少しづつではあるが確実に溶かしていった。 待っていた立春を迎えた。 まだ冬を纏ってはいるが、寒さは峠を越えこれから一歩づつ春に向かう。 旧暦ではここを正月としていたが、一年を季節の移ろいで考えた昔の人の季節感と感性が伝わってくるように思う。 季節の始まる立春に、あらためてこの一年を頭に入れておこう。 一年は春夏秋冬の四つに分けられる。 春は立春から立夏の前日までの二月初旬から五月初旬にかけて、夏は立夏から立秋の前日までの五月初旬から八月初旬にかけて、秋は立秋から立冬の前日までの八月初旬から十一月初旬にかけて、冬は立冬から立春の前日までの十一月初旬から二月初旬にかけてとなる。 これを季語でみてみると、春は春二月・春三月・春四月、夏は夏五月・夏六月・夏七月、秋は秋八月・秋九月・秋十月、冬は冬十一月・冬十二月・冬一月に分けられ、それぞれの季節の輪郭がはっきりとしてくる。 季語でいうと水仙は冬一月のものだが、毎年立春の頃になると無数の水仙が凛と咲き誇る水仙郷を思い出す。 淡路島の南端、眼下に紀伊水道を望み、沖に国生み神話の残る沼島を望む急斜面には、500万本ともいわれる野生の水仙が今年も咲き誇っていることだろう。 辺りが冬色の中にあって、花びらの白と中心にある筒状の黄色、そして気品のある香りが春の訪れを暗示する。 だから、記憶の中の水仙の黄色が筆者にとって立春の色だ。 さて、一年の始まり、一日とて無駄にはできない...。
by finches
| 2012-02-04 20:40
| 季節
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