820■■ 落葉焚き
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何時だったか何処だったかどうしても思い出せない。
落葉を掃き集めそれを盛って焚き火をし、その中にさつま芋を放り込んで、焼けた頃を見計らって木の棒で刺して取り出し、灰のついた皮をフウフウしながら剥がして、シットリホクホクの黄金色の実を食べた記憶。
その美味かったこと、その味の記憶だけは今も鮮明に残っている。

その後は蒸かし芋の記憶に変わる。
おやつでさつま芋といえば、いつもこの蒸かし芋だった。
だが、蒸かし芋は焼き芋とは色も味も全く違う別物だった。

大人になってからもたまに石焼き芋を食べることはあったが、あの味とは違っていた。
ある時友人から届いた鳴門金時を見て、記憶の中のあの味を再現したいと思った。
そこで、ダッチオーブンと焼き芋用の石を買って早速焼き芋をつくってみた。
皮は香ばしく実も美味かった、美味かったが、あの味とはやはり違っていた。

落葉焚きでの焼き芋は東京を離れて三度目になる。
アルミホイールで包んだ以外は昔の記憶を再現した。
その味は記憶に残るあの味に近い。
焼いても水分があって、シットリホクホク、黄金のような色、そして繊維に沿って裂けるように割れる。

だが、同じ落葉焚きでも違いがでるように思う。
「あの味に近い」と書いたのはまだ「あの味」ではないためで、最初に書いた「落葉を掃き集めそれを盛って」で「あの味」にもう一歩近付き、早朝の落葉での落葉焚きで「あの味」になると思っている。

焼き芋でもシンプルな方法が勝った。
素材と素直に素朴に付き合う、そうすることで本来の味と力を引き出すことができる。
遠い焼きいもの記憶はそんなことを教えてくれた...。

by finches | 2012-02-11 04:17 | 記憶


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