848■■ と~りよ来い

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春が近いせいか小鳥の鳴き声も近くで聞こえるようになってきた。
そこで、皮に皺のよったネーブルを二つに割って柿の枝に針金でくくってやった。
勿論、小鳥たちがそれを食べるのを窓から楽しむためだ。

東京のベランダでも小鳥のための餌皿と水飲み鉢は一年を通して置いてあった。
餌皿には松の実や胡桃を砕いて置いてやり、小さな水鉢は毎日洗って水を満たしてやった。
鳥が来るようになるまでには随分と時間を要したが、現金なもので餌の乏しい季節になると決ってやって来て、餌が出ていないと手摺にとまって催促するまでになっていた。

窓越しにそんな鳥たちを眺めながら、ささやかではあるが、小さな季節の移ろいを共有して楽しんだ。
ある時ルッコラを植えたことがあって、これは小鳥たちにとって垂涎の葉のようで、ベランダの下まで降りるのは鳥にしてみれば清水の舞台から飛び降りるほどの勇気がいったろうが、とうとう下りて来てその葉を食べるようになった。

猿も最初に人間の差し出す餌を手に取ったり、温泉に入ったりするのは既成の箍の嵌っていない子猿と相場は決っているが、鳥の世界も初めてのものに恐る恐る挑戦するのは若鳥のようで、親鳥は安全だと分った上でも石橋を叩き、直ぐにでも飛び立てるようにビクビクしながら若鳥の後に続く。
そんな光景がまた人間の社会と同じものだからいくら見ていても飽きることがない。

枝のネーブルを目ざとく見つけたのはカラスで、一つは土の上に落とされ、これから芽を出す柿の枝も無残に折られていた。
時間は要するだろうが、小鳥たちが来るようになるのが待ち遠しい。
春はもうそこまで来ている...。

by finches | 2012-03-10 05:52 | 季節


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