家人との弁当とワイン持参の花見が急遽転じて、友人夫婦とのマテ貝掘りとなった。 杣の森へと続く川を渡り、広大な塩田址を過ぎ、歴史ある港から小さな赤い回転橋を渡ってその島に入った。 温かいとは言え、海を吹く風はまだ少し肌寒く、迂闊にも無防備だった腕からその寒さは入ってきた。 潮が引くまでの間、風避けの大岩の陰で持参した弁当を広げた。 持ち寄った弁当や惣菜をシェアし、ワインを楽しみながら潮が引くのを待った。 筆者は腕からの寒さに堪りかね、寒くはないという家人に借りたコートを肩に巻いて寒さを凌いだ。 暫くするともう一人が寒さを訴え始め、その様子にどうも筆者よりは寒そうだと感じ家人のコートはそっちに移った。 そうこうしているうちに潮も引き、マテ貝掘りが始まった。 マテ貝掘りは砂をサッとスコップで削り、現れた小穴に塩をサッと振り掛ける。 暫くすると棒状のマテ貝が小穴からヒュッと出てきたところを引き上げて捕まえる。 マテ貝は穴から出た瞬間まだ潮は満ちていないことに、これは策略だと気付くや否や直ぐに穴に戻るから、モグラ叩きのようにモタモタしていると直ぐに引っ込んでしまう。 寒くはないと言っていた筈の家人がオズの魔法使いのカカシのように、はたまた木の葉を上手に貼り付けたみの虫のように、食事の時に敷いたシートを体に巻き付けマテ貝掘りに余念のない姿に、「彼女らしいな」と思いながらその姿を何枚も写真に収めた。 マテ貝掘りは十分に楽しんだ。 他にもニシ貝や若布や海鼠もその日の収獲に加わった。 筆者は海鼠をウミウシの背中に乗せて遊んだ。 桜は山の中腹にあった。 桜の下の花見ではなかったが、潮の匂いを嗅ぎながら遠くに見る桜もいいものだった。 いい季節が始まった...。
by finches
| 2012-04-10 05:35
| 季節
|
タグ
essay(1007)
昭和(243) かたち(185) 震災復興小学校(96) 箸休め(71) 震災復興橋梁(57) 橋(45) 大正(43) 近代モダン小学校(39) 函館(27) 江戸(24) essay bibliophobia annex(24) 明治(14) essay bibliophobia nuclear(6) 未分類(2) essay bibliophobia annexⅱ(1) 検索
カテゴリ
時間空間 記憶 季節 復興 嗜好 信条 地理 遺産 持続 無題 復興小学校 近代モダン小学校 フォロー中のブログ
Ever Greennaruhodo (茶房... ezzoforte 関根要太郎研究室@はこだて 函館 ・ 弥生小学校の保... I shall be r... リンク
虚数の森
菜滋記 透明タペストリー Clocks & Clouds 以前の記事
2017年 01月2015年 02月 2014年 03月 2014年 02月 2014年 01月 2013年 12月 2013年 11月 2013年 10月 2013年 09月 2013年 08月 2013年 07月 2013年 06月 2013年 05月 2013年 04月 2013年 03月 2013年 02月 2013年 01月 2012年 12月 2012年 11月 2012年 10月 2012年 09月 2012年 08月 2012年 07月 2012年 06月 2012年 05月 2012年 04月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 11月 2011年 10月 2011年 09月 2011年 08月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 11月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 08月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 04月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 05月 2009年 04月 その他のジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||