882■■ 川の流れ
b0125465_9454597.jpg 写真は北アルプスを望む高原川



北アルプスの主峰に繋がる山々を水源とする蒲田川は、乗鞍岳北麓を水源とする高原川と奥飛騨温泉郷の入口栃尾で合流する。
共に知る人ぞ知る清流だ。
そして、高原川は神岡の北端で宮川と合流して神通川と名を変え、富山平野を下って日本海へと流れ出る。

神通川は連綿と数多の恵みを流域の人々に与え続け、その自然の恵みを享受することに何の疑いも持たなかった人々を鉱毒公害が襲い、農地は汚染され人々は病苦に苛まれた。
カドミウム汚染による世に言うイタイイタイ病で、四大公害の一つとされている。

先月下旬に富山市友杉に富山県立イタイイタイ病資料館がオープンした。
そして、改めてその苦悩の歴史を読んで、一本の川の流れに纏うように暮らす人々の、そこから逃げることのできない運命について考えさせられた。
被害を被ったのは神通川下流域に暮らしていた人々で、廃液を垂れ流し続けた汚染源は上流の神岡にある三井金属神岡鉱業所だった。

北アルプスを水源とする清流が次第にひとつの太い流れとなって渓谷を下り平野を走り海に注ぐ。
神岡の町は潤い神岡の人々がその繁栄を享受していた長い年月の裏側で、清流に垂れ流し続けられた廃液は下流の扇状地を汚染し、土に蓄積し、農作物を通して人の体を蝕んでいった。

イタイイタイ病裁判の判決には次のように書かれているそうだ。
「河川は古来交通かんがいはもちろん、飲料その他生活に欠くことのできない自然の恵みのひとつであって、われわれはなんらの疑いもなくこの恵みにすがって生きてきた。神通川ももとよりその例外ではない。」

筆者の頭の中で、この不条理は福島第一原子力発電所の人災事故と重なった。
当然の対策の義務を怠った報いが、なんら罪のない人々に牙を剥いたことだ。
こんな不条理が許される筈がない。

そして、川の流れにその運命を翻弄されながらも、変わらずに流れ続ける川に、ノーマン・マクリーンの「A River Runs Through It (マクラーレンの川)」が重なった...。



追記
1976年にイタイイタイ病対策協議会が建設し運営をしている清流会館(イタイイタイ病資料館)がありますが、上記富山県立イタイイタイ病資料館として統合されたものではないことを電話で確かめました。
清流会館の住所等は以下の通りです。
  〒939-2723 富山県富山市婦中町荻島584
  電話 076-465-4811
by finches | 2012-05-03 03:40 | 記憶


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