906■■ 大間で最初に見たもの
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これから船で津軽海峡を大間へと渡るところで止まっていたが、今梅雨真只中の地に戻って来てその楽しかった日々を反芻している。
さて、津軽海峡を渡っただけで梅雨のない北海道と本州最北端の町はその様相が一変した。
その地には雨が続く梅雨はなく、どんよりと曇って一日中薄霧が空を覆い肌寒い日が続くのが特徴とのことだった。

ボートで何度か函館港の外に出たことはあったが、フェリーからの眺めはその時のものとは全く違っていて、見慣れた海がこんなにも広く怖い程の色をしていたのかと思った。
箱館戦争の海戦は正にこの海で行われ、弁天台場からは無数の砲弾が放たれた。
青函連絡船洞爺丸転覆事故もこの海で起きた悲惨な海難事故だった。
その海を沖に進むに連れて怖いような黒い色へと変わり、船は大きな波のうねりと闘いながら更に沖へと進んだ。

大間に近づくに連れ波のうねりは次第に収まり、いつも機上から見ていたその景色が目の前に現れた。
そして、その山も丘もない平らな風景の中に巨大なクレーンと建設中の建造物だけが異様に映った。
迎えの車で早速その異様な物体を案内してもらった。
それは大間原発の工事現場で、かつて海沿いにあった生活道路は遮断され、原発敷地を迂回するように立派な道路が出来ていた。

航空写真で知ってはいたが、この原発が他と違うのは人々の生活圏と隣接する、否、隣接というよりその只中に建設されているということだ。
ゲートの手前には大間の町があり、反対側のゲートの向こうには漁師の港があった。
どちらのゲートからも中を窺い知ることはできないが、巨大な送電線だけがその中から始まり、山の彼方に消えていた。

大きな不条理が人々の暮らしや営み、そして自然を有無を言わさず支配していた。
ゲートと監視カメラに囲まれた敷地の中は、利権に群がる人間の醜い我欲だけが支配する鬼たちの棲む檻だった。
ここに来た目的は別にあったが、先ずここでの現実を目に焼き付けておきたかった...。

by finches | 2012-06-16 06:52 | 無題


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