前稿の写真は本命の島へと向かうフェリーの後部デッキから撮影したもので、取り上げた島はこの真反対の方向に位置している。 では何故この写真を使ったのかと言えば、遠ざかる島影を見ながらある映画のポスターに描かれた島の形を思い浮かべたからだ。 その映画のポスターに描かれた島の名は「祝島(いわいしま)」、映画の名は「祝の島(ほうりのしま)」という。 「祝」は音で「シュク」、訓で「いわう」、と読むのは周知のことだが、「はふり(ほうり)」と読み、それが本来の「祝」の意味だと知っている人は少ないのではないだろうか。 「ほふり」とは神官や巫女など、神に仕えて祝詞(のりと)をあげる人のことで、「シュク」や「いわう」は、神にめでたいことばを告げる意が転じたものだ。 その「ほうり」がいる島が祝島と呼ばれるようになったらしい。 古代より祝島から姫島、国東への航路が九州へ渡る主要且つ最短のルートで、祝島はその最後の中継寄港地として航海の平安の祈る為の島であったことが島の歴史にも書かれている。 その祝島の対岸4kmに建設されようとしているのがあの上関原発で、「祝の島」はそれに反対する漁民の闘いを描いたドキュメンタリーだ。 原発が出来ればこの海は死ぬ、この海が死ねば瀬戸内海が死ぬ。 それは西日本全域が死滅することを意味している。 現在、上関原発予定地の公有水面の埋め立ては新しい知事により免許失効の措置が取られた。 このまま、祝島とその海が、かつて「祝(ほうり)」がいた頃の静けさを取り戻すことを、心から祈る...。
by finches
| 2012-08-27 05:44
| 信条
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