東京での疲れがどっと出て、日曜日は昼食を取りがてら初めての温泉に出かけた。 これまで、筆者が使っている少し古い地図にある温泉を訪ねてみると、幾つもが既に廃業していたり、道の駅の温泉へと大きく様変わりしていた。 昨日初めて訪れた温泉も既になくなったものと思っていたが、いつも行く温泉で源泉の隠れた名湯があると聞き訪れたものだ。 その温泉はある駅の近くにある旅館の温泉で、その線路と川を挟んで走る道路はこれまで何度となく通っていたが、その駅が何処にあるのかさえ分からずにきた。 昨日はその駅を目指して地図を見ながらその川沿いの道を走ったにも係わらず、その駅の所在は全く分からずに大きく行き過ぎた。 戻る途中にあった橋を渡り旧道らしき道に入り、一軒の民家でその駅の場所を訪ねた。 その旧道を進むと小さな駅があり、そこから見ると、確かに川の向こうにいつも通る道路も見えた。 温泉旅館は木造二階建てで寂れた情緒があり、その源泉の湯はゆっくりと疲れを癒してくれた。 旅館の女主人が狭いから止めた方がいいと言った方角を帰り道に選んだ。 旅館の脇の坂を登ると直ぐに視界が開け、黄金色の田んぼが広がっていた。 青い空には白い入道雲が見えたが、それはもう夏のものではなかった。 車を止め外に出ると、湯上りの頬に秋の風が清々しく、ふと見ると黄金の稲穂に混じって幾つもの彼岸花が真っ赤な花をつけていた。 この瞬間が彼岸花が最も美しい時だ、と思った。 そして、そんな景色が何より旅の疲れを癒してくれた...。
by finches
| 2012-09-24 07:28
| 季節
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