944■■ 追想Ⅲ-東京・南高橋
b0125465_6141734.jpg


南高橋
は亀島川に架かる第一橋梁で、昭和6(1931)年に完成した震災復興橋梁の一つだ。
この橋は明治37(1904)年に完成し大正12(1923)年に起きた関東大震災で損壊した両国橋三径間の破損の少なかった中央径間を、この南高橋として復活させたものだ。
だから、最初の両国橋から数えると108年を経過して今尚現役の橋ということになる。

明治,大正,昭和初期の古い建物の保存が叫ばれる昨今、同時期に建設された土木橋梁への関心は隅田川に架かる一部のスター橋梁は別として人々の関心の外にあるのが現実だろう。
だが、今尚この時期に建設された古い橋が人々の生活と密着した暮らしの中で、なくてはならない橋として立派に現役で機能していることを知って欲しい。

現代の橋と違って、これらの古い鉄の橋はどれも皆実に美しい。
加えて、鋼材を重ね合わせ、リベットで接合した手仕事の温もりが、人の暮らしや営みの身の丈のスケールと穏やかに呼応し優しく調和している。
それらの橋が土の中に埋められたり、味気ない同じような橋に架け替えられて行くのを見て歩きながら、これらの橋を何とか残せないものかと思い続けて来た。

特別な橋は別として、これまで寿命が来た橋は人知れず架け替えられて来た。
だが、不況による公共工事予算の緊縮から、古い橋を改修しメンテナンスして行くことで、その寿命を延ばそうというすばらしい試みが全国で始まっている。
隅田川を例に言えば、これらの古い橋を後200年は使い続けようという試みだ。

南高橋にもこの長寿命化工事の工事看板が立てられていた。
筆者は新川と鉄砲洲を繋ぐこの橋が好きだ。
ここにこの橋があることで街が時代と共に変貌しても、江戸を彷彿とさせる風情や情緒が残っているのだと思う。
200年後この街はどのように変わり、その中でこの橋はどのようにあるのだろう。
きっと、今以上に人々に愛され、凛と美しく輝いているに違いない...。

by finches | 2012-09-29 06:24 | 無題


<< 945■■ 追想Ⅳ-東京・隅田川 943■■ 追想Ⅱ-東京・上野毛 >>