947■■ 温泉と彼岸花-その後
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日曜日の昼下がり、東京から戻った家人を連れて温泉に出かけた。
そこは、その一週間前に初めて一人で訪れた温泉で、源泉を沸かしてはいるものの掛け流しであることには違いなく、その泉質は相当なものだと感心した。

その日湯から上がった家人はどこかニコニコとしていて、以前美人の湯として訪れた寸又峡温泉の泉質に似ていると、妙に抑揚を押さえた声で囁いた。
それは、毎日のように通っている温泉こそが、少なくとも県下では最高の泉質と思っていたところに、突然無名の強敵が現れたことへの驚きと焦りとを押さえている、そんな囁きに聞こえた。

帰り道、彼岸花の咲いていた田んぼの脇に車を止めた。
一週間前の花は終わり、それ以上に多くの真っ赤な彼岸花が一面に咲いていた。
秋の空は高く、そして青く、そこには秋の白い雲がポッカリと浮かんでいた。

四季の移ろいをこれ程身近に感じたことがこれまであっただろうか。
今日は昨日とは違い、明日は今日とは違う、そんな小さな変化に触れ感動したことがこれまであっただろうか。
日本人の感性の根底にある美意識は、この四季の美しさに感じる心に根差していると思った...。

by finches | 2012-10-05 07:31 | 季節


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