949■■ 追想Ⅵ-横浜
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何年か前から街の歩き方が大きく変わった。
それを一言で言うなら、敢えて遠回りをするということだろうか。
一つ手前の駅で降りて歩く、無理に路線を乗り継ぐのを止めその路線上の駅から歩く、川向うに行くにも手前の駅で降りて隅田川を歩いて渡る、そんな遠回りだが新たな出合いと発見を楽しむ歩き方だ。

関内で降りて横浜を初めてそんな風に港まで歩いた。
すると、今まで自分の中で横浜の中心から外れた場所であった所が、実は横浜開港の歴史に繋がっていることが分かった。
それは外国人居留地と日本人居留地とを分けていた道で、その軸線から見ると横浜の街の歴史や古い建物の成り立ちの謎が全て解けるように思えた。
そして、何十年もそれぞれ単体でしか見てこなかった古い建物が、歴史の織糸で結ばれていることにも気付かされた。

限られた滞在時間の中でわざわざ横浜を訪れたのは、横浜開港資料館や横浜都市発展記念館などでの資料集めと、三井物産横浜支店(旧名)を見たいと思ったからだ。
三井物産横浜支店は明治44(1911)年の完成で、建物全体を全て鉄筋コンクリート構造により実現した日本最初のオフィスビルだ。
この建物は関東大震災後に増築がなされているが、明治44年製のオフィスビルは大震災にも見事に耐えた堅牢な姿のまま穏やかに街の風景に溶け込んでいた。

古いというだけで耐震性がないと決めてかかる数多の大嘘を嘲笑うように、その101歳のオフィスビルは悠然と建っていた...。

by finches | 2012-10-13 09:06 | 無題


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