横浜でのお目当ては三井物産横浜支店(明治44(1911)年、設計・遠藤於菟)を見ることと、横浜開港資料館の図書室で調べものをすることだったが、その資料館で一枚の絵葉書に目が止まった。 その写真は明治後期に撮影されたもので、絵葉書のタイトルには『谷戸橋のたもとの旧ヘボン邸』とあった。 『ヘボン』からヘボン式ローマ字の、あのヘボンだと直感した。 その一枚の絵葉書を入口に、これまで知らなかった横浜の歴史についての多くの知見を得ることができた。 入口となったキーワードは『川』と『橋』で、そこから調べを進めて開港前の横浜を表した『武州久良岐郡横浜村麁絵図』に出合い、当時の横浜が大岡川河口に広がる浅い内海と、『象の鼻』とよばれる砂州からなっていたことを知った。 この内海と『象の鼻』の跡は現在の地図の上にもくっきりと残されていて、現代にその過去のレイヤーを重ねると、はっきりと横浜開港から現在までの歴史の痕跡を辿ることができる。 簡単に説明すると、かつて内海には大岡川とその支流である中村川が注いでいたが、江戸時代の新田開発によりこの内海が埋め立てられ、『象の鼻』の縁に沿うように中村川は西へと流れを変え大岡川に合流した。 開港後はこの『象の鼻』部分の東側が外国人居留地、西側が日本人居留地として整備され、中村川から海に向かって現在堀川と呼ばれている川が開削された。 その堀川に架かる第一橋梁が谷戸橋で、そのたもとにかつてヘボン邸があったことを絵葉書は示していた。 かつて図書館で幾度も目にしたヘボン式ローマ字一覧表、それを作ったヘボン氏が実はJames Curtis Hepburnで、当時の日本人が英語の発音を聞き分けることができなかった為にヘップバーンがヘボンになったことも知った...。
by finches
| 2012-10-14 11:19
| 無題
|
タグ
essay(1007)
昭和(243) かたち(185) 震災復興小学校(96) 箸休め(71) 震災復興橋梁(57) 橋(45) 大正(43) 近代モダン小学校(39) 函館(27) 江戸(24) essay bibliophobia annex(24) 明治(14) essay bibliophobia nuclear(6) 未分類(2) essay bibliophobia annexⅱ(1) 検索
カテゴリ
時間空間 記憶 季節 復興 嗜好 信条 地理 遺産 持続 無題 復興小学校 近代モダン小学校 フォロー中のブログ
Ever Greennaruhodo (茶房... ezzoforte 関根要太郎研究室@はこだて 函館 ・ 弥生小学校の保... I shall be r... リンク
虚数の森
菜滋記 透明タペストリー Clocks & Clouds 以前の記事
2017年 01月2015年 02月 2014年 03月 2014年 02月 2014年 01月 2013年 12月 2013年 11月 2013年 10月 2013年 09月 2013年 08月 2013年 07月 2013年 06月 2013年 05月 2013年 04月 2013年 03月 2013年 02月 2013年 01月 2012年 12月 2012年 11月 2012年 10月 2012年 09月 2012年 08月 2012年 07月 2012年 06月 2012年 05月 2012年 04月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 11月 2011年 10月 2011年 09月 2011年 08月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 11月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 08月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 04月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 05月 2009年 04月 その他のジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||