956■■ 栗のテーブル

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七畳半は短手が一間半の長手が二間半の大きさだが、この六畳が長手方向に半間延びた大きさがどうにも使い難い。
六畳より広いのだから使い易そうだが、縦横比のプロポーションの悪さなのか、家具がどうにも収め辛い。

その七畳半の発想を転換させて、逆に大きなテーブルを置いてやろうと決めた。
手持ちの栗の厚板9枚を組み合わせを替えながら何度も並べ直し、バランスの良い2枚を選び出した。
その時ベストだと思った向きを忘れない為に、それぞれの板が接する側に対峙する記号を振ることも勿論怠りない。

二日間はその板を並べたままただ眺めるだけにして、さあこれからどう手を入れようものかと思案を重ねた。
三日目から「少し皮剥きしては眺め」を繰り返し、三日かかって荒剥きまでの作業を終えた。
作業を急がないのは、皮と辺材との境の見分けがつかず、無暗に辺材に深く切り込むのを避けるためだ。
それは遺跡の発掘作業に似ていると思った。

天板の表面も荒く仕上げたい。
普通なら加工に出して綺麗に鉋仕上げというところだろうが、それでは栗材の味わいが無くなってしまう。
まあ、慌てず焦らず、ゆっくりじっくり、栗と話しながら、栗の気持ちを確かめながら、材料の持ち味を引き出してやろうと思っている。

この栗材は津軽海峡を渡って遥々やって来たものだ。
この木を山から切り出した人、この木を製材した人、この木を運んでくれた人、その人たちのことを思いながら、ゆっくりと栗の板に命を吹き込んでやろうと思っている...。

by finches | 2012-10-27 07:52 | 無題


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