958■■ 16世紀の遺構

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史跡発掘調査の報道関係者向けの現地説明会に参加する機会を得て、いそいそと出掛けて行った。
それは室町時代の館跡で行われてきた発掘調査で新たに見つかった庭園跡で、当時の館の空間構成や儀式・生活などを知る手掛かりとなるもので、まだ断定はできないものの枯山水の遺構ではないかとの説明があった。

当たり前のことではあるが、出土した事実だけから当時のことを推測する訳で、そこに想像力は不可欠だが創造力を足すことがあってはならない。
そこのところに自制が求められる分、いくら確信があっても断定を急いてはならないところが辛抱の為所だ。

遺構のあちこちにマークされた紐や、地層に細く描かれた線や、所々掘り下げられた四角い穴や、台地状に残された地山など、発掘現場でよく見かけるそれらの意味するところも教示を得られた。
地表から90センチ下に500年近く眠っていた遺構が見られるという貴重な体験は、そこで得られた知見も然ることながら、改めてそこに封印されていた歴史の記憶を毛穴に感じることができた。

次の日、その日紹介された研究者から、出土品から再現した食文化について纏められた資料が届いた。
そこには実際に再現された料理の写真などもあり、文字や図とはまた違うリアル感を持って往時の儀式・生活に思いを馳せることができた。

数年前までは大正も明治も遠い過去の時代だった。
だが、今は大正も明治は直ぐ其処、江戸もそして今回の遺構の時代も決して過去のものとするには得がたい教示が詰まっている...。

by finches | 2012-11-08 08:19 | 遺産


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