963■■ 旧道往還を歩く
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このところ日曜日になると決まって読みたい本持参での温泉通いを続けてきた。
温泉だと晴れだろうと雨だろうと関係なく、日曜の午後を楽しむことができることが妙に気に入っていた。
だが、昨日の日曜はちょっと行き先を変えてみた。
なだらかな照葉の原と林を歩いた子供の頃の強烈な記憶、その美しい記憶の場所はダムの水底に沈んでしまっていたが、その原を抜けた出口にあたる辺りを探している時に、偶然にも旧道往還跡を見つけていたからだ。

この旧道往還があの照葉の原に通じる入口かも知れないという期待から、二段の日の丸弁当、二本の京番茶、そして柿と蜜柑を二つずつ入れたバックを背負い、靴を長靴に履き替えると徐に林の道へと入って行った。
かつて参勤交代も通ったのであろう道は狭く、人家の横を抜けて暫くすると直ぐに木々に覆われた小道は前を見るとその先に、後ろを振り返るとその先にトンネルのような小穴が視界の後先に開いている以外は、下界の景色も空も木々で隠れていた。

途中、墓地で道を見失い別の道を暫く下ったが、おかしいと感じたら迷わず道を見失った起点まで引き返す冷静さえ持っていれば道は自ずと開かれるもので、次に選んだ道もこれが本当にその道なのかと不安を感じながらの下りではあったが、何とか視界が開け小さなお堂の脇に出ることができた。
そして、ちょっと苦目の京番茶で喉を潤し、お堂の脇の椎の木の下で日の丸弁当を広げた。

昨日は地名や地勢について考えながら長い距離を歩いた。
そして、そこから得られた新たな知見はまた新たな疑問を生み出しだ。
だが、これまで何か不思議な因縁に導かれるように集めたそれぞれの知見が、大きな歴史の織糸となり繋がっていくのを感じる、それは小さいが大きな旅だった...。

by finches | 2012-11-26 08:16 | 記憶


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