何かが何処かにぶつかったような異常な音に、その所在にあれこれと頭を巡らせた。 下に停めてある車に何かが当たったのではという突然の予感に窓を開けて見下ろすと、下階の庇の先に一羽のメジロがうずくまっていた。 良く見ると頭が朦朧としているようで、音の正体はそのメジロが窓ガラスにぶつかった音だと察した。 体の動きは止まり目だけを時折しばたたく微かな動きに、これは脳震盪を起こしているに違いないと、今にも庇の先から落ちそうなメジロの救出に取りかかった。 元気になるまで安静にしておいてやるために、大きめの紙箱に新聞紙を何重にも敷き救出に向かった。 その間数分、脚立を掛けて救うまでもなく、メジロは庇から落ちて動かなくなっていた。 「まだ助かる」、暖かいストーブの前でまだ温かいメジロを手の平に載せてゆっくり優しく心臓マッサージを始めた。 「きっと蘇生する」、その一念で頭をなでてやりながら柔らかい胸毛をゆっくりと押し続けた。 マッサージを止めた後も、ただ気絶しているだけかもしれないという微かな期待から、暖かい紙箱の中に寝かせてやった。 メジロが蘇生することはなかった。 メジロは数日前まで一心に実を食べていた柿の木の下に埋めてやった。 米粒と蜜柑一房を一緒に入れてやった。 きっとこのメジロは柿の木の守り神になってくれるだろう...。
by finches
| 2013-01-17 08:03
| 無題
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