快晴の日曜、久し振りに山にでも入ってみようと思っていると、みるみる日が陰り冷たい風の吹く一日に変わった。 昼食に出るのも億劫で、時折チョコレートをつまみながら昼を跨いでの読書日となった。 時々窓からの景色を眺めながら何枚かの写真を撮っているうちに、突然この情景をブログを書こうと思い立った。 柿の木にもう実はない。 その柿の木の傍に昨日から蜜柑を二つ割りにして置いている。 それはメジロの為だが、そのメジロを筆者の宿敵・ヒヨドリが追い散らし、メジロの為の蜜柑を貪り食う。 窓の内には手裏剣ならぬ細く切った杉板を、窓の外には小粒の飛礫を一列に並べ、ヒヨドリの鳴き声がする度に撃退していたが、狡猾なヒヨドリとの戦いは相手が何枚も上手であることを渋々認め、その不毛な戦いに終止符を打った。 一夜が明け冷静さを取り戻した筆者はヒヨドリの撃退を諦め、ヒヨドリが蜜柑を食べられない方策を考えることに頭を切り替えた。 方法を変えながらメジロとヒヨドリの食べ方を注意深く観察し、とうとうメジロには食べられるがヒヨドリには食べられない蜜柑の吊るし方を発見した。 冬の庭にはハクセキレイが走りまわり、胸を叩くような音の主はジョウビタキ、柿の枝で羽繕いをしているのは餌を食べ終わった雉鳩の番、二つぶら下げた蜜柑をメジロが楽しそうに食べ、蜜柑を食べることの出来ないヒヨドリは時々やって来てはメジロを追い払いけたたましい鳴き声を上げている。 一本の柿の木で冬の小鳥たちが繰り広げる世界、そこからは微塵の濁りもない真剣な生の営みが見えてくる...。
by finches
| 2013-02-17 15:47
| 無題
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