980■■ 無垢な季節の始まり
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啓蟄のあたりから姿は見えねど、微かに蠢く動物たちの始動の気配を感じ始めた。
まだ冬を纏った地面は殺伐としていて、取り残された落葉はこの数カ月虫たちによって分解されることもなく、ただ風にカラカラと翻弄されるままに身を任せ、仕舞にはいくつかの吹き溜まりに集められた。

春分のあたりから色は見えねど、其処彼処から淡く色づく植物たちの始動の気配を感じ始めた。
まだ冬色の殻に覆われた芽先からも、芽吹こうとする生気の色を感じ、それらは次第に空間のあちこちで一斉に色づき始めた。

満開の桜を散らす時ならぬ冷たい雨の中、清明の輝きに見蕩れた。
木々は枝先に小さな若葉を付け始め、野草は青々とした葉を広げ、蕗は若葉を軽快に持ち出し、キャラブキは象の鼻のような小さな葉を広げ始めた。
葉を垂れていたフイリヤブランも真っ直ぐに上を向いて伸びる若葉が顔を出し始めた。

傘をさし、しゃがんで、美しい清明の世界を堪能した。
地上に蠢く動物はいなかったが、土の中で蠢く動物たちの躍動の気配を静かに感じ取った。
清明、再び無垢な季節が始まった...。

by finches | 2013-04-07 11:16 | 季節


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