982■■ 採石場跡

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去る日曜日、散砂を求めて採石場を歩いたことがある。
それまでは散砂は埠頭に山積されたものを買うものとばかり考えていたが、自分の足で歩いてみると掘り出される山によって、つまり採石場によってそれは微妙に違うことが分かった。

散砂を探し歩いたのは、旧家を歴史資料館に改装した庭一面に敷かれている散砂が、どうも他とは違うという思いが頭の片隅で燻っていたからだ。
頭の中ではその散砂を採った採石場は中学一年の臨海学校で訪れた海の、その岬の先にあった採石場と重なって、きっとあの場所に違いない、そう勝手に思い込んでいたのだからたわいも無い。

その日、訪れた一つがこの採石場で、既に廃業して年月が経っているらしく、入口には立入禁止のロープが張られ、かつて船に直接積み込んだ錆びた桟橋からは、ここがかつて空港の埋め立てに使う砕石を採った採石場であることが窺えた。

山を削り地の底を掘った跡が、切り立った高い崖と湖となって静寂の中に取り残されていた。
そこは覗き込むと引きずり込まれそうな殺気に満ちていて、高所恐怖症の筆者にはこれ以上近付くことは到底出来なかった。

この景色はここまで来るか、船に乗って海からでないと、見ることはできない。
人家の方からだと雑木の生い茂った普通の山にしか見えず、その裏側が半分削り取られ、その底には青い水を湛えていようなど想像すらできないだろう。

立入禁止のロープを越え、恐る恐る奥まで入った。
そこで目に飛び込んできた世界、散砂探しの小さな冒険が世にも不思議な大きな体験をさせてくれた...。

by finches | 2013-04-25 06:53 | 遺産


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