カテゴリ:無題( 215 )
904■■ 東京は雨
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一日中雨にたたられた東京も一夜明けると快晴の朝を迎えた。
雨で楽しみにしていた散策は断念したが、それ以外の目的はそつ無くこなした。

数年振りにT刃物店を訪ねることもできた。
外から覗くと、主人は入口に背を向け何やら黙々と研いでいたが、中に入り挨拶をすると忙しい手を止めいつもの場所に座り直すと、突然の来訪にも厭な顔ひとつせずに付き合ってくれた。

その店には数か月前に家人が一人で訪ねていた。
それは店主が書いた本が手元に残っていればその一冊を譲って欲しいと筆者が頼んだ為で、家人は随分緊張したと後で言っていた。

その刃物店のことを知ったのは函館でオルガン作りをしている友人との何気ない会話に始まる。
それはその友人と宮大工・西岡常一との信じられないような出会いの話に始まり、西岡棟梁が東京のT刃物店のことを友人に話して聞かせ、そんな店が眼と鼻の先あったことに驚いた筆者がその店を訪ねたことによる。

今回も雨の中をわざわざ訪ねた価値は十分にあった。
それにしてもすごい男がいるものだと改めて思いもした。
そして、この主人の関わった全ての書籍を手元に置いておきたいと思った...。

by finches | 2012-06-11 04:42 | 無題
903■■ 幻想的光景―六月

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図書館で見つけた一冊の産業史を持ってT用水路揚水場を探して山に入り、諦めかけて山を降りる途中にこんな幻想的な光景に出合った。
シダに午後の木洩れ日が当たり、そこだけが霞んだように輝いて見えた。

低い里山と雖も一旦その中に入ると木々に覆われ、深い森の中にいるのと大差はない。
これが北海道ならヒグマが怖くてこんな場所を歩こうなどとは決して思わないが、いるのはせいぜい猿か狸か猪で、それらの野生もいざ出合うと恐怖は感じるにせよ、ヒグマの恐怖の比ではない。

鹿などはかわいいものだが、何か気配を感じて目を凝らした先の樹上に猿などがいて、それらが複数の眼でジッと睨んでいることに気付いた瞬間、それはそれでゾクッと凍り付くような野生の凄味が伝わってくるものだ。

この日は長袖のTシャツに長ズボンと長靴という出立ちで臨んだ。
揚水場を探すにはそれなりの覚悟がいると思ったからで、お陰で少々の草むらでも軽快に歩くことができた。

さて、今日はこれから東京だ。
そこでどんな幻想的な光景を出合えるか、今から楽しみだ。
久々にゆっくりと歩いてみよう...。

by finches | 2012-06-09 03:30 | 無題
901■■ 最終便

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別に怪しい店ではない。
東京からの最終便の機内を撮ったものだ。
それは、百二歳で逝った祖母の葬儀の帰りのせいか、覚めやらぬ二日間の余韻のせいか、最新鋭機のその照明の演出はまるで黄泉の国へと並行する随行者に用意されたカプセルの中にいるように感じられた。

体には少しだが疲労感があった。
珍しく朝食を残したこと、葬儀の途中で軽く食べた遅い昼食代わりのおにぎり、いつもの夕食からは大分早い精進落とし、食事の変調はそのまま体の疲れを引き出すように思えた。

斎場から火葬場までの移動は長く長く感じられた。
車窓の景色が都市から近郊農地へ、街から田園風景へと変わる過程で随所に取り残された野生に、近代の都市化とスプロール化の爪痕を実感した。
そして、それらは立松和平が描いた「遠雷」の風景と重なった。

疲労感は都会の尾根を縦走した疲れのように感じた。
それは直ぐに何かで癒したいと、早速「遠雷」の予約を図書館に入れ、同じく立松和平の「雲を友として こころと感動の旅」をアマゾンに注文した...。

by finches | 2012-06-06 05:40 | 無題
898■■ 笹舟

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日曜の朝の少し遠出の友人たちの魚の買い出しに同乗させてもらった。
着いた海は穏やかに凪いでおり、その色は近くと沖で鮮やかなコントラストを見せ、遠くには独特な形をした平たい島々が浮かんでいた。
車はその美しい海岸線を東へとひた走った。

着いた道の駅にはいつもの朝の市場で見かけるものとは随分と違う魚が並んでいた。
その中から迷った挙句に三種類を選び、ついでに生の米麹も買った。
復路、友人お薦めの昼食を取った。
地元で採れた旬の素材を素朴に料理した幕の内に小さな蕎麦の付いた日替わり定食は地味だが美味いと思った。

屋外のテーブルの山側には細い水路があって綺麗な水が速いスピードで流れていた。
その流れを見ていて笹舟を作って流したいと思った。
クマザサで作った笹舟はずんぐりとしていて、子供の頃に作った細長い笹舟とは随分違うものに仕上がった。
だが、ずんぐりしたクマザサの笹舟も流れに置くと滑るように下って行った。

友人たちと家人にもクマザサを渡した。
笹舟を作るのは初めての家人も、なかなか上手に作った。
そして、みんなが思い思いに笹舟を流した。
どれもあっという間に流れて行った...。

by finches | 2012-05-29 05:03 | 無題
893■■ 枯枝のオブジェ

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風が吹くと柿の木の下にはたくさんの枝が落ちている。
風がなくても柿の木の下にはいつも枝が落ちている。

それは枝も代謝を繰り返しているからで、昨年の枝に今年も葉をつけるとは限らない。
そんな枯れた枝は木のゆっくりとした動きに、擦れ合い折れて落ちる。

枯枝のように見えてもそこから新芽を出す枝もある。
枯枝は触ると付け根から簡単に折れるが、枯枝のように見えても生きている枝は触ると付け根でしなる。

そんな枝を集めていたら随分と溜まった。
それを見ていて鳥はどうやって巣を作るのだろうと興味が湧いた。

早速鳥の気持ちになって巣作りに挑戦した。
実際には創作生花でもしている気分で、もくもくと枝を刺してはまた刺した。

鳥はすごいと思った。
そして、柿の木もすごいと思った...。

by finches | 2012-05-23 05:12 | 無題
890■■ 利用者のための言葉
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3週間前に図書館のウェブサイトで一冊の本の予約を入れた。
その時その本は運悪く貸出中で、最長で2週間返却を待たなければならなかった。

図書館には予約した本が返却されると電話をくれるサービスがあったが、ウェブ上でその本の動向を確認できることもあって、電話連絡は不要である旨をウェブ上で申し送った。
そして、その日から毎日その本の動向のチェックが始まった。

本の動向をチェックするには図書館のウェブサイトを開いて「利用状況確認」から入り、利用者番号とパスワードを入力する。
すると、ウェブ予約の一覧が開き、その本の現在の状態が表示される仕組だ。

少なくても日に一回、日によっては数回もチェックをする時もあった。
一覧で状態を見て、次に本のタイトルをクリックするとその本の所蔵情報が開き、そこには貸出中と表示されていた。

いくら何でも長過ぎると、図書館に問い合わせをした。
すると、本は貸し出せる状態にあると言う。
筆者はどうしてそのことをウェブ上で確認出来ないのかと尋ねた。
暫くして、図書館からの折り返しの電話が鳴った。

「利用状況確認」に表示された「予約割当済」が、本が貸出可能であることを意味していると説明を受けた。
そして、本のタイトルをクリックして表示された本の所蔵情報の「貸出中」は、筆者に対して貸出状態にあることを意味し、他の利用者に対してその本が現在貸出中で図書館にはないことを示していることが分かった。

「予約割当済」とは筆者の予約が確定している意味だと思ったことを伝え、因みに「予約割当済」が「貸出可能」という意味なら、本が返却される前はどのように表示されていたのかを尋ねた。
すると、暫く待たされて「予約登録済」と表示されるとの説明が返ってきた。

「予約割当済」も「予約登録済」も図書館員の符丁であって、「予約登録済」はいいにしても「予約割当済」は「本の用意ができました」と表示すれば誰にでもその状況が分かる。

本のタイトルをクリックして現れる所蔵情報の「貸出中」に至っては、前人の『貸出中』が本の返却を境に、筆者の『貸出中』に変わっているなど分かろう筈がない。

図書館は利用者に対する分かり易さへの配慮が必要だ。
それは利用者への過度な迎合などではない、利用者が一目で理解できる分り易い言葉を使うことだ...。

by finches | 2012-05-19 03:36 | 無題
889■■ たかが1.5センチと侮るなかれ
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我が家にはもう随分前に購入したガラストップの正方形の座卓がある。
届いて直ぐにその高さが使い難いことに気付いたが、処分するでもなく使ってきた。

その座卓は26歳の時に初めて責任ある仕事を任されてある地方都市に赴任した際に買ったもので、東京からはIKEAのテーブルとY木材工芸の椅子をその赴任先に送り、デスクライトはyamagiwaから取り寄せた。

IKEAのテーブルは折り畳めるスチール製の赤い脚だけが今も残っていて、大切に使っている。
yamagiwaのデスクライトは紆余曲折、波乱万丈はあったが、今も大切に使っている。

家人が東京に行って留守の間は、その座卓で毎晩一人で食事をするのだが、その高さがどうにも気になって仕方がなくなった。
それはただその高さが気に入らないという主観的な問題ではなく、物を書く、物を読む、物を食べる、それら個々の目的に対しての機能的なところでの問題に、とうとう我慢も限界に達した。

そこで、どのくらいその高さはあるのかと測ってみた。
それは以前筆者が製作を依頼して作らせた座卓より1.5センチ程高かった。

この1.5センチを我慢してきた積年のストレスを思いながらその脚を短く切った。
たかが1.5センチと言うなかれ、新しい座卓は我が暮らしの道具として蘇った、否、生まれ変わったと言っていい。

写真で見ると1.5センチなんてこんなものだ。
だが1.5センチをあなどるなかれ、人の脳は正常な平衡状態を欲しているのだ。
この座卓の前に座る度に、我が脳は「高い、高いぞ、高過ぎるぞ」と、筆者に指令を送っていたのだと今更ながら思った...。

by finches | 2012-05-18 05:53 | 無題
888■■ 新しいノートブック
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今日からオークションで落札した新しいノートブックで書いている。
新しいと言っても中古品で、今まで使っていたものより機能もスピードも随分と進化しているが、「もの」としての質感や触り心地は古いものの方が勝っている。

OSをアップデートしているせいか、元来このノートに備わっていた優れたユーティリティソフトであるホイールパッドが削除されていて使えず、メーカーサイトからのダウンロードも考えたが、どのような過程を経てアップデートされているか分からないパソコンをいじると、他のトラブルが生じる可能性もあり、思案の末届いたままの状態で使うことに決めた。

こんなこともオークション出品者にクレームとして申し出る落札者もいるだろうが、それはそれ、新品ではないのだからそんなリスクも受け入れた上で入札はすべきだと考えている。
筆者にとって重要でも、他の人が落札したらそれは気にもならない問題ということもある。
そんなことをいちいち出品者に文句を言ってはいけない、これもオークションにおける一つのマナーだと思う。

出品者からゆうパックで発送された荷物は、手元に届くまでをネット上で追いかけて待った。
出品者は愛知県岡崎市在住で、入金を確認出来次第直ぐに送れるように出張先まで梱包を終えたノートを持ち回ってくれたのだろう、荷物の引受は松本巾上郵便局となっており、そこから松本南支店を経由し、O支店、S支店、U支店を経由して手元に届いた。

民間の宅配便なら中継地は一つかぜいぜい二つだが、郵便局は三つの中継地を経ており、これだけみてもまだまだ効率化を図れる余地はあると思った。
だが、引受から到着まで30時間だから、かつての郵便局からすれば格段の進歩だと思った。

新しいノートブックには直ぐに慣れるだろう。
それは新しいノートブックにこちらが合わせればいいだけだ...。

by finches | 2012-05-13 06:43 | 無題
886■■ ノートブック-つづき

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文章を打つ為にだけ使うノートブックは中古品でいいという想いでオークションに臨んだ。
昨夜は入札終了時間までの2時間が待てずに、ここまでは出してもいいと思う金額を入札金額としてプールして眠った。
そして今朝その結果を見てみると、それより2千円高い金額で落札者が決っていた。

勿論、その金額なら筆者も出しただろうが、オークションは自分で上限を決めて臨む方がいいと考えている。
そして、落札できなくてもくよくよと考えない。
その時はそれこそが出物と思っていても、自分の探している条件に叶う次なる出物は見つかるものだ。
筆者も今朝布団の中で早速次なる出物を見つけたが、落札終了時間までは後二日残っていて、今度は終了時間の30分前から入札に加わろうと作戦を決めた。

欲しいノートブックの条件はパナソニックのLet’snoteで、この液晶サイズ12.1型のものだ。
OSはXP以上であれば特に問題とはしない。
筆者がノートブックにパナソニックを選ぶのにはもう一つ訳があって、伝統のトラックボールがホールパッドというポインティングデバイスに受け継がれていることだ。

小さくて、軽くて、操作性が良くて、他のメーカーとは一味も二味も違うもの作りのコンセプトが生きている。
このノートも机の上で使うには余程のことがない限り電源が落ちることもないのだが、やはり本は好きな姿勢で読みたいように、使う場所が限定されるのではノートの魅力は半減する。

さて、次は何としても落札しなくては。
机に向って書くのもたまにはいいが、やはり膝の上で書くのが小文には似合っているから...。

by finches | 2012-05-11 06:01 | 無題
885■■ ノートブック

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最新機種だったこのノートも随分とお古になった。
最近はその負担を軽くしてやるために、ほとんどのソフトを削除し、このブログを書くための専用として使っていた。
だが、電源プラグの接触不良から、膝の上に載せて使うことがとうとうできなくなった。

軽くて小さくて膝の上にピッタリ納まるノートは、ブログを書く時の定位置であるソファーに座ってキーを打つのにピッタリで、肘掛に置いた電子辞書とスツールに置いたiPadと共に本当に使い易い環境ができていた。

一念発起して新しいノートをマックにした手前、ブログ用のノートが壊れたからといって同じ機種の新品を買う訳にもいかない。
だから、中古の出物を探しているのだが、そもそも文字さえ打てればいいのに、このノートも傷だらけなのに、中古とは言え手に入れようとすると少しでも状態のいいものをと、つい思ってしまう。

恐らくオークションで手に入れることになるだろう。
早ければ、今日にでも...。

by finches | 2012-05-10 03:36 | 無題