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688■■ 畳む
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日本にはこの国にしかない美しい習慣や伝統がある。
以前取り上げた『包む』と、今回取り上げる『畳む』は密接な関係にある。
なぜなら包むものは畳んで仕舞うことができるからだ。

一ヶ月を越えてやっと改修工事が終わった。
一番にそこに吊るす金魚を小箱から出した。
和紙でできている金魚は胸ビレと尾ビレが長い。
胸ビレは丸い胴体に巻きつくように、尾ビレも実に巧妙に畳まれている。

写真ではこの金魚がどんな形になるのか想像しがたいが、古い町に伝わる民芸品だ。
もう二十年近く我が家にあって二十年分の埃をかぶっていたが、東京からの移住でやっと気持ち良く泳げる場所を与えてやれそうだ。

二十年近く吊るしていた金魚を畳むのには苦労した。
折り跡も消えていて、何度もやり直しては挑戦しているうちに、理に適った唯一の畳み方に合った途端、まるで消えていた折り跡が蘇ったようにすんなりと畳むことができた。

そして、『包む』『畳む』の次は、『結ぶ』ということばが頭に浮かんだ...。

by finches | 2011-08-08 08:03 | 時間
687■■ 緑の競演
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昨夜は朝顔の葉を打つ微かな雨音を聞きながら眠りについた。
今朝目覚めると昨夜から降り続いた弱い雨は地面をしっとりと湿らせ、雨のない酷暑続きに喘いでいた木々や草花たちは突然の天からの恵みに息を吹き返したように感じられた。

二つの水鉢のメダカに餌をやり終え日が射してきたと思った途端、それを待っていたかのように蝉が一斉にせわしく鳴き始めた。
その鳴き声を聞きながら今日も暑くなりそうだと思っていると、突然弱い日より雨が天からパラパラと落ちてきて、次に空は雲のない曇天に変わると糸のような弱い雨が斜めに地面を濡らし始めた。

朝顔は気持ちのいい朝を迎えたのだろう、屋根に近い庇まで花を付けている。
そして、交互に植えられたゴーヤの葉との濃淡のコントラストが美しい。
色が濃くなった柿の葉とまだ色の薄い柿の実との濃淡のコントラストも増してきた。
いつもの年より遅くなって葉を水面に伸ばし始めた睡蓮も小さな葉を水底から次々に水面へと送っている。
水中にある時の睡蓮の葉は茶紫色をしているが、それが水面に出て光合成を開始すると次第に緑色に変わってくる。

蝉の鳴き声が遠くから聞こえてくる。
蝉が雨を嫌うかどうかは知らないが、そこは雨が降っていないのか、はたまた日が射しているのかもしれないと思った...。

by finches | 2011-08-06 07:51 | 時間
686■■ 回転橋

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北前船が寄港した港は全国で百近くあるが、その一つの近くにこの橋はある。
隅田川に架かる勝鬨橋は跳開橋として知られ、今でも橋の途中に跳開を知らせる信号機を見ることができるが、この赤い橋もそこに信号機があることに気付かなければ可動橋であるとも知らずに通り過ぎていただろう。

可動橋と分るとそれがどのように動くのかを知りたくなるものだ。
それほど古くも無さそうに見えるこの赤い橋は回転して水路を開ける回転橋だった。
せいぜい漁船が通るくらいなのだろう、そのスケールが周囲と自然な調和をつくり出していた。

橋の袂にある運転小屋には人がいる訳でもなく、誰がどのように操作をするのか不思議に思った。
この橋での禁止事項はただ一つあって、ここでの釣りは禁止だと書かれていた。
島をつなぐ小さな橋、そこで見た昔からの信号機と釣り禁止の文字が何とも長閑で、ここに暮らす人たちのゆっくりと流れる時間を感じた。

18世紀後半の北前船の時代に当時の経済政策の一環として建設された新港、再び訪れる時はその歴史の址と面影を探してみたい所だと思った...。

by finches | 2011-08-01 15:32 | 時間