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970■■ メジロの死
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何かが何処かにぶつかったような異常な音に、その所在にあれこれと頭を巡らせた。
下に停めてある車に何かが当たったのではという突然の予感に窓を開けて見下ろすと、下階の庇の先に一羽のメジロがうずくまっていた。
良く見ると頭が朦朧としているようで、音の正体はそのメジロが窓ガラスにぶつかった音だと察した。

体の動きは止まり目だけを時折しばたたく微かな動きに、これは脳震盪を起こしているに違いないと、今にも庇の先から落ちそうなメジロの救出に取りかかった。
元気になるまで安静にしておいてやるために、大きめの紙箱に新聞紙を何重にも敷き救出に向かった。

その間数分、脚立を掛けて救うまでもなく、メジロは庇から落ちて動かなくなっていた。
「まだ助かる」、暖かいストーブの前でまだ温かいメジロを手の平に載せてゆっくり優しく心臓マッサージを始めた。
「きっと蘇生する」、その一念で頭をなでてやりながら柔らかい胸毛をゆっくりと押し続けた。
マッサージを止めた後も、ただ気絶しているだけかもしれないという微かな期待から、暖かい紙箱の中に寝かせてやった。

メジロが蘇生することはなかった。
メジロは数日前まで一心に実を食べていた柿の木の下に埋めてやった。
米粒と蜜柑一房を一緒に入れてやった。
きっとこのメジロは柿の木の守り神になってくれるだろう...。

by finches | 2013-01-17 08:03 | 無題
969■■ 御降と年賀状
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御降の元日の朝、餅二つの雑煮と御節で二合の酒を嗜んだ。
散らし寿司の昼食を挟んで、後はひたすら年賀状書きに励み、夜は御節で再び三合の酒を嗜んだ。

御降とは「おさがり」と読み、元旦や正月三が日に降る雨や雪のことを言い、御降が降れば天がその年の豊作を約束してくれたしるしとして大変めでたがられた。

今年のお飾りに選んだ稲穂の尾を付けた藁を編んだ亀の周りは、次第に年賀状で埋め尽くされていった。
今年の年賀状は一枚一枚相手の顔を思い浮かべながら書いた。
そんな当たり前のことさえこれまではしてこなかったような気がした。

これから投函を済ませたら初詣に回ろうと思いながら今これを書いている。
窓からは明るい朝の光が射し込み、熟れた柿の実を何羽ものメジロがつつく様子を間近に楽しみながら書いている。
こんな穏やかな時間がこれまであっただろうか。

大晦日の小雪が元日の御降に、そして晴れに変わった。
今日も良い日になりそうだ...。

by finches | 2013-01-02 09:38 | 記憶