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975■■ 冬の小鳥
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快晴の日曜、久し振りに山にでも入ってみようと思っていると、みるみる日が陰り冷たい風の吹く一日に変わった。
昼食に出るのも億劫で、時折チョコレートをつまみながら昼を跨いでの読書日となった。
時々窓からの景色を眺めながら何枚かの写真を撮っているうちに、突然この情景をブログを書こうと思い立った。

柿の木にもう実はない。
その柿の木の傍に昨日から蜜柑を二つ割りにして置いている。
それはメジロの為だが、そのメジロを筆者の宿敵・ヒヨドリが追い散らし、メジロの為の蜜柑を貪り食う。
窓の内には手裏剣ならぬ細く切った杉板を、窓の外には小粒の飛礫を一列に並べ、ヒヨドリの鳴き声がする度に撃退していたが、狡猾なヒヨドリとの戦いは相手が何枚も上手であることを渋々認め、その不毛な戦いに終止符を打った。

一夜が明け冷静さを取り戻した筆者はヒヨドリの撃退を諦め、ヒヨドリが蜜柑を食べられない方策を考えることに頭を切り替えた。
方法を変えながらメジロとヒヨドリの食べ方を注意深く観察し、とうとうメジロには食べられるがヒヨドリには食べられない蜜柑の吊るし方を発見した。

冬の庭にはハクセキレイが走りまわり、胸を叩くような音の主はジョウビタキ、柿の枝で羽繕いをしているのは餌を食べ終わった雉鳩の番、二つぶら下げた蜜柑をメジロが楽しそうに食べ、蜜柑を食べることの出来ないヒヨドリは時々やって来てはメジロを追い払いけたたましい鳴き声を上げている。

一本の柿の木で冬の小鳥たちが繰り広げる世界、そこからは微塵の濁りもない真剣な生の営みが見えてくる...。

by finches | 2013-02-17 15:47 | 無題
974■■ 柿とメジロ Ⅱ
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やっと一羽二羽と見かけるようになったメジロも、二羽三羽、五羽六羽と数を増し、とうとう何十羽いるのかも分からないくらいやって来て柿の実を食べるようになった。

人間というものは幾つになっても強欲なもので、木に随分と残っている熟れた実を指しては、駄目になるからもぐように勧める。
要は収穫できるものは根こそぎ取ろうという発想で、小鳥たちにもそれらを分けてやろうなどという発想は微塵もない。

ナナカマドは秋にその赤い実を枝ごと随分と地上に落とす。
しかし、枝先に少しだけ残された赤い実は、冬雪に覆われ食べるものがなくなった小鳥たちの命を繋ぐ。
小鳥たちがその実を啄ばむ情景は美しいもので、紅葉のころの美しさとは一味違う生への躍動がある。

メジロたちにとってこの柿の実はナナカマドの実と同じだ。
柿の実を食べるメジロたちは必死で、そこには厳しい冬を乗り越えようとする躍動が感じられる。

冬は動物や植物の命を感じる季節だ。
眠っているようでも、そこには春へ向けての力強い躍動に満ちた世界がある...。

by finches | 2013-02-12 08:34 | 季節
973■■ 休日の陽だまり
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穏やかな休日の朝、冬の日射しは暖かい陽だまりを床に落とし、遠くに見える海の波はキラキラと輝き、漁に励む幾艘もの船が見える。
南の窓はまるで絵画の額縁のように、日々変化する季節を切り取って見せてくれる。

既に実のなくなった柿の木に一羽のメジロがやって来て、実のないことを確かめるや、軽やかに飛び去って行った。
その姿を目で追いながら瓦屋根の上の雉鳩の番いに気付き、いつものように餌を置いてやるといそいそとやって来て啄ばみ始める。
その様を小椅子に座って眺め、二羽が飛び去るのを待ってゆっくりと二階に戻る。

今日はこれを書き終えたら温泉に直行し、午後はバロックの音楽会を楽しみにしている。
こんな休日を過ごせることに、心底から感謝...、重ねて感謝...。

by finches | 2013-02-11 10:59 | 無題
972■■ 柿とメジロ Ⅰ
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今年はもうメジロは来ないのだろうかと思っていると、突然とその姿を見かけるようになった。
12月も終わりに近い頃だ。
姿は見せなくてもそこは鳥の目での観察に怠りも見落としもなく、食べ頃になるまで柿が熟れるのを待っていたようだ。

柿を食べにやって来る鳥には他に雀とヒヨドリがいる。
雀もヒヨドリも警戒心が強く臆病で、窓越しでも人の気配を感じた途端に逃げてしまう。
そして、雀もヒヨドリも狡賢い上に貪欲で、ヒヨドリに至っては食べる態度もマナーも最低といえる。
だから、雀もヒヨドリもどうも好きになれない。

その点メジロは窓越しに見ていても逃げないし、枝から枝にせわしく飛び移りながら一心に実を食べる姿が愛らしい。
楽しそうに丁寧に食べるところにも好感が持てる。

写真はそんなメジロを初めて撮影した時のもので、枝には沢山の実が残っていたし、メジロの表情にもどれから食べようかと思案する程の余裕が伺える、そんな一枚だ。
何百枚か撮った中から、メジロが見せてくれた冬の詩篇を少し紹介しよう...。

by finches | 2013-02-10 12:14 | 季節
971■■ 節分の海
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日曜日、海を見下ろす温泉にでかけた。
太陽に干した布団を取り込める時間までに帰る、そのために昼を挟んだ数時間が当てられた。
「どこに行こうか」
「近場ならあそこがいいんじゃない」
と、その海が見える高台の温泉に決まった。

芽吹く準備を始めた木々の間を走り、遠くにこの地特有の形をした山並みを眺め、刈株が続く田んぼや若葉を一斉に出した麦畑やもう直ぐ芽を出すだろう真黄色な菜の花畑を思い浮かべながら、広い干拓地を横目に遠浅の海を眼下に斜張橋を渡り、美しい砂浜のある海へと向かった。

その海は中学一年の筆者が臨海学校に来た思い出の場所で、合宿した当時は国民宿舎だった高台に建つ建物と海との間の長く急な坂を一日に何往復もしたことを覚えている。
思えばこれも小学校から中学生活に入り心身共に鍛えんがための周到に準備されたカリキュラムだったのだろう。
当時、こんな綺麗な海があるのかと思ったことを今も覚えているが、長い年月を経て沖に浮かぶ小島も海の色も丸い水平線もあの時のまま変わらないように思えた。

立春を前にした穏やかな小春日和、石の防波堤の内側で風を除けながら弁当を開いた。
筆者たちは途中で野菜と一緒に買った、栗入りの御赤飯と恵方巻とサーターアンダーギーを分けて食べた。
そして、窓から冬木立越しに海が見えるサウナと、眼下に広大な海を見渡せる露天風呂を楽しみ、早目の帰路についた。

夕方までささやかな家庭菜園の手入れに軽く汗を流した。
作業を終えると鬼の面を被り、炒った大豆を小枡に入れた家人が待っていた。
そして、我が家恒例、節分の日の豆撒きが始まった。
鬼は外、福は内...。

by finches | 2013-02-05 09:38 | 季節