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992■■ 影

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昨日の柿の木の温度計は38度を示し、噴き出す汗にひとり得心をした。
その夏の強い陽射しが毎朝白塀に鮮明な影を創り出す。

それぞれの色を持つ竹も棕櫚縄も朝顔も黒い影に同化し、それぞれのシルエットも同一平面に転写される。
竹は吊り橋の主塔のよう、棕櫚縄はメインケーブルとハンガーロープのよう。
ならば、朝顔は何に喩えよう。

明石海峡を跨ぐ吊り橋はメインケーブルから、デコレーションライト用ケーブルがハンガーロープを伝い下りている。
朝顔は正にこれだ。

そのケーブルがどっち巻きだったかは忘れたが、朝顔の弦は間違いなく左巻きだ。
暑い陽射し、目を射るその強さ、だが、それがあって黒い鮮明な影が結ばれる。
夏本番、それにしても暑い...。

by finches | 2013-07-21 10:16 | 無題
991■■ 糠床
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絶妙の味加減を安定維持していた糠床、その味を迂闊にも狂わせてしまい、その味の復活にあれこれ挑んだものの、とうとうその味は戻らず諦め新しい糠床を作ることにした。
新しい糠床を仕込んでちょうど四日目の朝、初めて蓋を開け掻き混ぜ、味を整える試し漬けに入った。

容器はホウロウから『1995年 未熟樽』と墨書されたわが家の木樽に替えた。
蓋の密封度はホウロウに劣るものの、木肌を通して呼吸できるその素材は、冬は温度を保ち夏は下げてくれる、まさに生きている優れものだ。

古い糠床は八朔と八朔の間の固い土を浅く耕してそこに埋めた。
糠床の微生物が今度はいい土を作ってくれる筈だ。
循環型のライフスタイル、心の持ちようで全てを豊かに変えてくえる。

打ち水を終えた庭の小径を眺めながら文字を打つ朝のひと時。
今日も暑くなりそうだが、柿の木の下は涼しい海風が抜けてゆく...。

by finches | 2013-07-14 07:55 | 無題
990■■ 初蝉鳴く

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今年はまだ蝉の鳴き声が聞こえてこないと思っていたら、きのう日が落ちてヤマモモの木の方角に蝉らしき一声を聞いた。
実はその前兆はきのうの朝あって、庭の小径の石ころにじっとしている一匹のアブラゼミと出合った。
みかんの枝にそっと置いてやると、まだ羽が開ききっていない蝉は、ジージーと鳴きながら草むらに飛んで(落ちて)行った。

今朝も小径の小椅子の脚に蝉がとまっているのを見付け、そっとみかんの枝に置いてやった。
開ききっていない羽はきのうと同じで、この蝉は飛ぶことができないのかも知れないと思った。
飛べない蝉は、きっと鳴くこともできないのだろうと思った。

今、蝉の鳴き声が聞こえている。
だが、一匹の蝉の鳴き声はまだ単調で、本来の鳴き声とは程遠い。
それを聞きながら、蝉というものは二匹以上が競演することで初音の調整ができるのだと分かった。

今、蝉の鳴き声は聞こえない。
だが、木々の枝々には無数の蝉が初音の準備を既に整えていて、リーダーテノールの一声を待っている筈だ。
そして、その瞬間大合唱が始まるに違いない...。

by finches | 2013-07-13 07:49 | 季節
989■■ 庭の小径
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鬱陶しいばかりの梅雨の長雨も時に清々しい感動を与えてくれる。

土を割り土をモッコリと持ち上げる双葉の力強さ、名も知らぬ無数の野草の健気な生命力、一本また一本と其々のペースで蔓を伸ばし始める朝顔の堅実さ、何時そんなに大きな実をつけたのか胡瓜の不思議、透明なカプセルの中に色の宇宙を宿すトマトの神秘さ、朝霧にシルエットを現す蜘蛛糸の妖艶さ、まだまだ言い尽くせないくらい無数の感動がある。


雨に濡れた庭の小径も日に何度も心に感動を与えてくれる。

自然摘果の柿や酢橙の青い小さな実が散らばっていたり、シダが突然勢いよく生長を始めたり、島の竹箸工房を訪ねた時に分けてもらったトクサから小さな芽が伸びているのに気付いたり、柿の二葉がそこら中から顔を出していたり、水鉢の中に生まれたばかりの子メダカが泳いでいるのを発見したり、番いの雉鳩が向こうから歩いて来たり、これまた数え上げれば切りがない。

不要なものの置き場、薄暗くてジメジメとしていて、決して近付きたくなかった場所、それがこの小径の辺りだった。
その場所が、今では静かな癒しの空間に変わった。
鬱陶しいばかりの梅雨の長雨も、この小径にはよく似合う。
梅雨明けももう間近、次は朝夕の水打ちだ...。

by finches | 2013-07-08 06:40 | 季節