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999■■ 心を育んだ小山
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網代に竹を編んだ弁当箱に葉蘭を敷き、そこに炊きたての玄米を軽くよそい、梅干とラッキョウと茄子の辛子漬をのせた弁当を作った。
それにリンゴも一つ添えた。

紅葉はもう終わっているかもしれない、そう思いながらもそれらを手に小春日和の小山に入った。
日々の温泉通いで山の色の変化には気を留めているが、美しい紅葉の瞬間にはなかなか立ち会えないものだ。

子供の頃にこの小山で見た紅葉の美しさが今も頭から離れない。
それは山が最も美しい瞬間に立ち会えた忘れられない体験で、今とは違う眼下に広がる素朴な景色とともに頭に刻み込まれた二つとない心象風景だ。

熟した木の実はまるでルビーのようだし、その極めつけの瞬間はまだこれから訪れるのかもしれない。
紅葉は終わったと決めつけるのはよそう。

人気のない山の斜面で書くブログもたまにはいい。
小鳥が鳴き、赤トンボがやって来て 腕にとまる。
時を経てここは今も大切な場所に変わりない...。


by finches | 2013-11-23 14:58 | 季節
998■■ 鏝
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東京京橋の西勘本店は左官鏝を扱う老舗で、それらは店の奥に鎮座している。
勿論値段もいい。

鍛冶屋が作る鏝と違い昨今のホームセンターに並んでいるものは、プレスで打ち抜いた板に柄を溶接したものばかりで、それは数百円から手に入る。
それらは使い捨てで、柄が取れたらお仕舞い、新しいものに買い替える。

そこには良い道具を手入れして使い続けるという文化はもうない。
腕の立つ職人が持つ手入れの行き届いた使い込んだ道具が如何に美しいものか、それらが生み出す仕上がりが如何に研ぎ澄まされているか、それさえも知らない職人が使い捨ての道具を使い野帳場の仕事に身を削る。

素人が高価な鏝を揃えるのは流石に愚か、然りとて数百円の鏝で済まそうとも思わない。
我が家にあった鏝の中から三本を選んで手入れをしてみた。
モルタルや漆喰が付着し、厚く錆びている代物ばかりで、それらを削り落とすことから始めた。

ところが使ってみると滑りが違う。
どうせ安物には違いなかろうが、以前とは全く違う風格も出てきたから不思議なものだ。

それらを、家人は、綺麗だと言う...。

by finches | 2013-11-10 10:37 | 持続