854■■ 春分の日の湯

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高校の同期生7人で飲んだ。
東京から母親の介護に帰省した一人が声を掛けその日のメンバーは決ったらしい。
顔や名前こそ知っているが東京からの友人以外はみんな初めて会うメンバーだった。
どうやらクラスもまちまち、長い時間がそのメンバーの友情を育んだようだ。

町一番の神社の神主、地元駅の駅長もやったことのある奴、抜群に理数の頭が良かったという船会社の社長、高校からコーラス部一筋の鍼灸治療院の先生、高校の文化祭でドラムを叩き喝采を浴びた奴、そして東京からの帰省者で白ヌタやら牛蒡の煮付けやら天ぷらやらの支度をして来たという奴、そんな連中と楽しい夜を過ごした。

三軒のはしご酒の結果は二日酔い、だが、不思議と爽やかな二日酔いだった。
そんな訳で春分の日は日がな一日ボーと過ごし、夕方、いつもの温泉に出掛けた。
そこは熱い湯で、常連が言うには昨日は46度、熱からず温からずのいい湯とのこと。
熱くなると48度くらいになり、こうなると湯が少し動いただけでもうじっとしてはいられない。
飛び出して、隣の28度の掛け流しに飛び込む。
噂を聞いて折角訪れても、中には熱くて湯船に入れず帰る人までいるらしい。

写真がその温泉だ。
すべてが春に向かっていて、芽吹きを待つ美しい光景が広がっている。
木々の日々の変化が分るから、毎日その変化を見るのがまた楽しい。
普段は我慢する豆腐屋のソフトクリームを、祝日だからと立ち寄って食べた。
すると、火照った体が心地よく冷めていった...。

# by finches | 2012-03-21 07:17 | 無題
853■■ 温泉巡り

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楽しみにしていた日曜日は雨、これじゃあ自転車は無理と諦める。
少し思案して、温泉巡りをしようと決めるや、早速出発。
先ずは近場の温泉で全身を洗い、髪も乾かして準備を整えた。
これで残りの温泉はタオル片手の素浴を楽しむ算段だ。

地図を取りに一旦帰宅し、スーパーに寄ってチョコ2つと水2リットルを買った。
次に街一番のフルーツ店に寄り、一番美味いバナナを所望して買った。
途中の朝市では、夕食のための野菜6種も買った。
これですべての準備は完了、進路を更に北西に取った。

2番目の温泉は市内300円、市外500円。
地元の人が通う小さな内風呂の温泉は隠れた美人湯らしい。
3番目は知る人ぞ知る名湯、お目当てはその中で一軒だけの掛け流しの湯。
泉質の良さは両肘で感じた。
4番目も知る人ぞ知る名湯、正真正銘掛け流しの湯だ。
泉質は勿論言うまでもない。

写真は3番目から4番目の温泉に向かう山道に入る所で、この国道は次第に細くなり仕舞いには車一台がやっと通れるだけの細い林道に変わった。
Uターンのできない前に進むしかない山の中の細道に霧まで出て来るものだから、正直不安で心細くもあった。
時折杉木立の間から見える下界もスッポリと霧に沈んでいて、こんな所で車が故障しようものならとゾッとなった。

GPSは出発した9時半から帰り着いた5時過ぎまでを5秒おきに正確に記録している筈だ。
地図の上でそのルートを確かめるのが楽しみだ。
そして、まだ走ったことのない山道を思うと、これからの季節が楽しみになってくる。
自然の中でのフィットネス、やはりこれに勝るものはない...。

# by finches | 2012-03-19 04:39 | 無題
852■■ 階段の静物

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広い階段もいいが、通常の昇り降りだけを考えると、階段を自分好みにアレンジするのも楽しいものだ。
筆者の場合は階段が本棚のようになっていて、小さい文庫や新書などは横一列で150冊は並べることができる。
これを本棚に置こうとするとサイズの小さい文庫や新書は収納効率が悪く、二重に置こうものなら奥の本は忘れ去られてしまう。

写真はその階段の踊場を撮ったものだが、踊場と言ってもフラットになっていないから本は置き難い。
いろいろ工夫してチャレンジはしてみたが、どうも見た目が今一なのと、掃除がし難いことから、今のところ本以外の静物を置いている。
何を置くかは気分次第で、今は花器を置いている。

本棚の本というのは下になるほど探し難い。
だから筆者の本棚は3、4段に最も使う頻度の高い本を置いている。
ところが階段を本棚にすると、自分が上下に移動することで目の高さが変わり、本を探すことが容易になる、これが滅法いい。
取り出した本を階段に腰掛けて読むこともできるし、飲み物を持って来れば即席の小机にもなる。

そのうちにもう少し手を入れようと思っている。
狭いが最も楽しい場所だ。
否、狭いところがいいのだ...。

# by finches | 2012-03-18 06:11 | 無題
851■■ フィットネス
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フィットネス倶楽部の会員にはこれまで二度ほどなったことがある。
最初に入った倶楽部は天王洲アイルの最上階2フロアーにあって、プールからは東京湾が見渡せ、木を張ったデッキテラスのジャグジーからの眺めも最高だった。
そこには2年間車で通ったが、2時間の無料駐車券が廃止されたのを機に通うのを止めた。

暫く同じ倶楽部に籍を置き違った地域の倶楽部を回った。
中には安藤忠雄が設計した南青山の倶楽部などもあった。
だが、歩いて行ける交差点の角に新しい倶楽部ができたことで、そそくさとそちらに移籍した。

今度は海は見えないが、3本の道が出合う交差点とその上を走る高速道路が立体的な都市的景観を造り出し、その知恵の輪のような空間を行き交う人や車をガラス越しに見ながらのウォーキングに、都市生活者としての若干の特権を感じることもあった。

だが、プールのマナーの悪さに泳ぐのを止め、ネズミの運動器のように同じ場所で歩き続けるマシンにも飽き、ガラス越しに見えるケンタッキーフライドチキンのカウンター席にこっちを向いて並ぶ孤独な客たちと、あちら側から見るとこっちもきっと同じように見えているに違いないと思った瞬間、何だか同類の虚しさを感じ次第に疎遠になっていった。

あの頃より今のほうが体重で9キロ余り軽くなった。
特にこれといった運動をしているわけではないが、晴耕雨読の生活スタイルが知らず知らずに体に負荷を与えているのかもしれない。

退会したつもりだった倶楽部から情報更新の連絡が来た。
会費を納めないと倶楽部の利用は出来ないが、除名にはなっていないことが分かった。
だが、ベルトが回るマシンの上をモルモットのように歩くより、nanoとGPSを持って初めての場所に出掛ける方が何十倍も楽しい。

土は脚に優しく、起伏は適度な負荷を掛けてくれる、それがいい。
機械によるトルク調整ではない、自然による負荷が何とも心地よい...。

# by finches | 2012-03-17 06:17 | 無題
850■■ 病には克てず

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120本の丸竹のうち、予備として購入した一割は手付かずのまま残った。
その余った竹は二間長さで節止めにした上で雨のかからない屋内に仕舞った。
夕方からのその作業が体を冷したようで、次の日に体の動きが止まった。
丁度三月十一日、あの大震災から一年がたった日曜の昼前だった。

丸三日間寝込んだ。
一年を通して休まずに書いてみようと決めていたブログのことが気になった。
だが、タイトルだけは書いてみたものの、それ以上は体が動かなかった。

閉めた障子越しに外の気配を耳だけで追った。
一度だけ障子を開け、柿の枝に付けてやった蜜柑を食べにやって来た鳥を寝ながら眺めた。
余り眠ることが出来ず落語を聞いた。
八代目林家正蔵(彦六)が上手いなあと思った。

三日目は日の当る縁側に布団を移動した。
すると今までがまるで嘘のようにコクリコクリとよく眠れた。
四日目に熱は下がったが念のために、縁側に干した布団の上で日がな一日雑誌を読んで過ごした。
早春の日差しが注ぐその場所は温かく、その縁側でそんな風に過ごすのは初めてのことだった。

その温かい布団の上から次第に西に傾く太陽を撮った。
そして、まだ温かいうちに布団を中に入れ障子も閉めた。
太陽を一日浴びたお蔭で顔色も元に戻った。
そして、何より日本の家の、畳と障子と縁側と庇の、関係の妙を再発見した...。

# by finches | 2012-03-16 05:04 | 無題