037■■ 城東小学校 ・其八
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復興小学校には唱歌、図書、手工、裁縫、作法、理科、家事などの特別教室が設けられた。
中でも設備を要した理科室と手工室については細かな規格が示されている。
当時の小学校を卒業すると多くの生徒が仕事に就いた時代を考えると、この特別教室のほとんどが社会での実践につながる教育の場であったことが想像される。

手工室をとってみても現在と異なる様々な工具が用意され、高等科に至っては板金細工や簡単な冶金・旋盤の設備を備えるものまであった。また、音が発生する手工室は1階の翼部に置くことが推奨され、設備配管や配線の効率化に加えて塵処理までも考慮して、その2階に理科室を置くことが書かれている。
加えて手工室は2面乃至3面の採光が求められ、明るく快適な場所として用意されたことが窺える。

さて、今と当時とはその授業形態も異なるが、綺麗に整理整頓され子供達への出番を待つ道具類に、この学校に潜在する力と図工(美術)を担当する若い先生の教育者としての豊かな感性と資質を感じた。
その一方、函館には教育委員会と市長によって今まさに壊されようとしている弥生小学校という由緒正しい学校がある。
この弥生小学校の見晴らしの良い階にある床の間付きの和室のことを思った。

そして、明るい日差しが射し込むあの和室で裁縫や作法を教え習う昔日の光景に想いを馳せた...。

by finches | 2009-05-24 07:31 | 空間


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