067■■ 明石小学校 ・其四
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昨日、雨の中を明石小学校の学校公開に出掛けた。
受付を済ませながらも、初めて足を踏み入れる校内への期待でいっぱいだった。
解体に当たっての建物見学日だと思っていたら、年一回行われる学校公開日が正しかったようで、日曜日にも係わらず中では授業が行われ、父兄がそれを遠巻きにしたり共に参加したりと、授業参観日とは違う全校挙げての取り組みが披露されていた。

明石小学校は大正15年に完成した当時26学級だったものが、今では6学級にまで学級規模は減少しているが、空いた教室は一つも見当たらず、全ての部屋が何らかの目的に充当されていて、バランスを欠くことのないそのすこぶる余裕のある教育環境にはただただ驚かされた。
また、毎年の保守費用の予算化が継続的に行われていることが窺われ、築後83年を経過した建築とは到底思えないくらい、見事に現在に通用する建築に思われた。

建設費の比較では明らかな違いは見出せなかったが、筆者は復興小学校117校の中でも幾つかの学校に於いてグレードの差が存在するように感じていた。それは平面図の中に感じたり、外観形状や意匠性の中に感じたりと漠然としたものではあったが、この明石小学校もそのように感じていた学校の一つだった。
校舎の中を歩きながら、降りしきる雨の中をグランドから眺めながら、この建築の設計レベルの高さを実感し、それがこの建物が83年かけて育んだ建築の記憶と一体になって、再生することも新生することも決してできない見事な教育環境をつくり上げていることを実感した。

函館の弥生小学校で感じたものと同じものをここ東京でも感じた。
それは、壊す必要を全く感じない優れた建築、優れた教育環境に対峙しての悲しい気持ちだった。
そして、この不条理を覆そうとする芽はないのかと、雨の向こうの教室の窓に写る人影に思った...。

by finches | 2009-06-22 07:44 | 復興


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