[Photo] CARLO SCARPA / a+u 段状に迫り出した庇がその角を共有し‘留め’の関係を保ったまま下まで下りている。 前回の写真、泰明小学校の玄関部分のことだ。(下の写真) この不思議なデザインを初めて見た時、カルロ・スカルパがブリオン家のために設計した墓地のことが頭をよぎった。(上の写真) 両者の建造は40年近くの差があり、勿論、そこに因果関係などは存在しよう筈もない。 このような繰り返しが行われる理由の一つに、構造の呪縛からの自由を求めその重さを削ぎたいと思う時があり、今一つには、単調さを覆い隠すために装飾で埋め尽くそうと思う時があるように感じる。 この段状のデザインがそれに当たるか断言は出来ないが、そこにはアール・デコの時代を背景にしての、重さからの開放と埋め尽くそうとする装飾性が隠されているように思えてくる。 カルロ・スカルパはポッサーニョ石膏像ギャラリーで、構造的に主要な建築の隅角部を切り取り、そこにガラスを嵌めて構造の呪縛を否定して見せたように、ブリオン家墓地もコンクリートの量塊を段状に削ぎ落とし、また逆に段状に装飾することで、同じく呪縛から開放され昇天する場であり、祈る場である墓地をデザインしたのではないかと考える。 1978年、カルロ・スカルパは仙台で不慮の死を遂げた。 もし東京滞在中にこの泰明小学校の玄関を見ていたなら、と思いを巡らしながら終わりにしよう。 スカルパはブリオンの墓の最も近くに葬られているということを最後に...。 [注記] 文中の判読し難い文字について 「墓地」 (ぼち) 「墓」 (はか)
by finches
| 2009-06-25 07:57
| 空間
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