前稿の墨田区にある言問小学校と、この港区にある高輪台小学校の二校が現在、インターナショナルスタイルの現役小学校としてほぼ完全な姿を保持している。 高輪台小学校は昭和10年(1935)に台町小学校と高輪小学校が統合されて生まれた新しい小学校で、繰り返しになるが117校ある復興小学校に続いて建設された改築小学校となる。 今見ても、都内の全ての最新鋭の小学校をも凌駕する存在感で、勿論、薄っぺらで10年後には過去のものとなるような現代建築など足下にも及ばないのは言うまでもない。 高輪台の小高い場所にこの小学校が姿を現した時はさぞ美しかったことであろうし、それを見た市民はさぞ驚嘆したことだろうと思う。 それは正に白く輝く‘白亜の小学校’だったろう。 この高輪台小学校も平成8年(1996)に実施された耐震診断の結果、安全性の問題から新築の話が持ち上がるが、翌年、東京都歴史的建造物に選定されたことを契機に現状保存への道を辿ることになる。 港区による歴史的建造物の調査報告書によると、この高輪台小学校はモダン・ムーブメント(近代運動)を背景として登場した昭和初期のモダニズム建築という位置付けで、また関東大震災復興期に建設された鉄筋コンクリート造建築の流れの先にある一つの完成形として捉えられているように思われる。 話は変わるが、行政が歴史的建造物に指定したからといって、その建物が保存のお墨付きを得た訳ではない。これと全く逆を行く事例が北海道の函館市で見られるが、それは歴史的建造物に指定されていた昭和13年(1938)に建設された弥生小学校という文化財的価値を持つ歴史的建造物を、ただ新しく造り直したいが為に耐震調査結果報告書を偽装し、自ら行った歴史的建造物の指定の解除まで行うといった考えられないことが市民の反対を他所に実際に起きている。 高輪台小学校はこのあたりについても多くの示唆に富んだ好例で、改めてこの続きを書きたいと思っている...。
by finches
| 2009-11-11 05:49
| 復興
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