237■■ 餅花
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写真は函館の宝来町に咲いた餅花だ。
函館に住む知人が撮った写真のいつもながらの美しさも然る事ながら、この餅花の背景に写る黒い土蔵にも記憶の中で連鎖するものがあった。

この黒塗りの土蔵は明治末期に建てられた質店を改造したもので、大火の多かった函館の歴史を今に伝える貴重な建物でもある。
この建物は「茶房ひし伊」と言い、その古い佇まいの中で味わう喫茶も良いが、趣のある落ち着いた空間の中で古い着物や雑貨を見たり選ぶのもご婦人方には楽しいらしい。

この中で確か古布で作られていたと思うが、綺麗な「餅花」を見た記憶がある。
その記憶と餅花の写真が連鎖したという訳だ。
この知人のこと、それを百も承知の上での暗喩的表現かも知れないが、この明るい雪の中に咲いた餅花の背後の土蔵の中に、電球の灯りに浮かぶ古布で出来たもう一つの餅花があると思うと、その何とも妖艶で不思議な世界を想像した。

まだ函館の雪の中でこの餅花を見たことはない。
しかし、函館の夏には子どもたちが蝋燭を持って家々を回る美しい七夕の風習があるように、まだまだ知らない季節ごとの美しい伝統の行事があるのだろうと、深く深く感じ入った...。


写真提供/ezzoforte
by finches | 2009-12-22 06:45 | 嗜好


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