258■■ 旭丘高校と高輪台小学校
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昨夜JIA(日本建築家協会)が主催する保存再生セミナーへ出席した。
今月16日に行われた復興小学校に関するセミナーに続く企画で、講師は名古屋大学大学院准教授・西澤泰彦氏とJIA登録建築家・南知之氏の二人だった。

前者は、10年前の名古屋における旭丘高校保存運動の経過説明とそこから得た教訓、そしてその後の保存活動などが軽妙洒脱に建築史研究者の立場から語られた。
後者は、プロポーザル・改修設計・監理に主体的立場で係わった港区立高輪台小学校の実例を挙げて、昭和10年に竣工した改築小学校の保存再生の取り組みの具体例が建築家の立場から語られた。

旭丘高校は取り壊され、その活動は「消えた校舎-旭丘高校校舎建て替えてんまつ記」という一冊の本にまとめられている。筆者も函館の弥生小学校の保存活動の最中に読んだことがあるが、その保存運動の発端とその運動へと掻き立てられた本音の部分、本では分からなかったその部分を昨夜の言葉の中から知り得たことは収穫というべきかも知れない。

しかしそんな講演内容には同調できたが、質問への回答を聞いていてだんだん暗雲立ち込めるような心境に陥った。
それは話へ尾ひれが付くくらいは許容できるとしても、明らかな間違いをさも真実のように掲げての保存運動の「How to ...」ものに至っては、知らなかったでは済まされない無責任さを感じないではいられなかった。
そして、この手の保存問題を餌に名を上げなければならない学者の悲しい性(さが)へ強い違和感を覚えた。

参加者一同が共感し満足気な顔顔を横目に、どこかが違うと思いながら重い足で帰途に着いた...。

by finches | 2010-01-23 08:52 | 無題


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