310■■ 神田川 御茶ノ水橋外灯
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この外灯がある御茶ノ水橋は昭和5年に架橋された震災復興橋梁だが、御茶ノ水渓谷という立地とその川幅から、その型式としてスチールラーメン橋が採用されたことで、どこか趣という点では劣る橋だと予予(かねがね)思ってきた。
この橋はどちらかと言えばこの橋の上から神田川を見下ろしたり、山田守の設計となる聖橋の優美な姿を眺めたり、逆に水道橋側に目をやりかつて神田上水懸樋があった江戸に思いを馳せたりと、この御茶ノ水橋自体を眺めることは少ないように思う。

もう一つこの橋から見えるもので筆者が好きな小さな建物がある。
それは神田川左岸にある地下鉄丸の内線の駅舎入口で、現在は崖を覆う木々に隠れるようにその姿はより小さく見えるが、曲線と直線を使ったシンプルな形と繰り返される小窓の上手い扱いからは昭和モダンの心地よい匂いを感じていた。

この外灯は御茶ノ水橋の左岸側の橋詰にあるものだが、この橋詰の先に上の地下鉄入口もある。
最近工事途中の御茶ノ水橋の写真を見てその工事の大変さなどを知り、この橋への思いも大分依然とは違ってきた。
そして、その橋にこんなモダンな外灯がデザインされていたことを改めて知り、山田守の聖橋(昭和2年完成の震災復興橋梁)のコンクリートアーチ橋にまるで対抗するように、復興局の橋梁技師たちが取り組んだのがこの御茶ノ水橋ではなかったかと思うようになった。

これらは筆者の推測の域を出ないが、今まで見過ごしていた一つの外灯のモダンデザインを通じて、御茶ノ水渓谷に向き合って架かる2つの橋をデザインした技師たちが確実にいたことを改めて思った...。

by finches | 2010-03-18 06:57 | 復興


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