言問橋は隅田川両岸の隅田公園を中央で跨ぐ橋であった為に、そのデザインは眺望や景観に頗る配慮がなされて設計が行われた。 そのことは当時復興局土木部長であった太田円三の次の言葉からも窺い知ることができる。 「(言問橋は)稍大膽(ややだいたん)な設計でありますが、此の形の持つなだらかな線は附近の公園とよく調和すると思われます。」[注:()内は筆者注釈] もう一つ、この言問橋とそこからの景色を眺めていて、復興局橋梁課長田中豊の論文の一節を思い出した。 それは、かつて隅田川の第一橋梁として永代橋の原案を作った田中豊がその形式の選定に当たって、トラスはその不規則な斜材のために非常に不愉快な感じがすると書いていた部分だった。 前稿で建設中の東京スカイツリーの存在感とデザインに違和感を覚えるようになってきたと書いた。 筆者も否応なしに下町の其処彼処から眺められるこのタワーを何枚も写真に収めているが、ふと、このタワーの柱材と斜材の多さと太さが気になってきた。 そして斜材の多さ煩さを見ていて上の田中豊の論文の一節を思い出し、橋が垂直に立っている姿を想像した。 田中豊は、トラスはその不規則な斜材のために非常に不愉快な感じがするとしている訳で、整然とした斜材なら不愉快ではないとも取れる。 しかし、北京オリンピックの「鳥の巣」程ではないにしろ、また、いくら柱と斜材が整然としているとは言え、少なくとも現時点では、このタワーの構造材はその繊細さに欠けるように思える...。
by finches
| 2010-03-27 07:00
| 復興
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