我が家はこの町から味噌を取り寄せている。 そんな町に味噌とは違う目的で訪れた。 山に囲まれた平地には鏡面のような水田が広がり、その中を真直ぐな道が続いていた。 この地方らしい家の造りや瓦屋根の色を楽しみながら目的の場所に向かっていると、突然風変わりな建物が目の前に現れ直ぐに車を止めた。 夕刻が迫る中、これから訪れようとしている三つの製材所のことが気になりながら、水田越しにシャッターを切った。 何の建物かを確かめる間はなかったが、酒蔵か何かの倉庫に思えた。 一番下に横長の換気口がある、その上にある窓は恐らく高窓だろう、そしてその窓の直ぐ上には木の床があって、一番上の窓はその床から直ぐの高さに設けられているとその建物の内部を想像した。 上下二つの窓の間には水切り瓦が設けられ、雨から土壁を保護していた。 この水切り瓦の下の窓からは、その中にある空間の高さと奥行きが感じられ、窓を高くすることで奥まで光を入れようとしていることが分かった。 水切り瓦の上の窓からは、その中には作業の為の床があって、そこには手許の明かりが求められたのだろうと想像した。 この二つの窓のとり方から、やはりこの建物は酒蔵ではないかと考えたが、高い煙突がないことから、一体これは何なんだろうと振り出しに戻った。 この一角には大正か昭和初期のものと思われる擬洋風の建物も屋根越しに見えた。 恐らく街道沿いに発達した古い歴史があるのだろうと思いながら、再びここを訪ねようと心に決め車へと戻った...。
by finches
| 2010-06-13 04:52
| 空間
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