423■■ 陽の射す海

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厭な長雨が執拗に続いていた朝はいつも薄暗く陰鬱だったが、今朝は久し振りに陽が射していて思わず海まで来てしまった。
ラップトップとカメラ、そして帰りに市場に寄る為の少しのお金を持っただけでサンダル履きの気軽な出で立ちだ。
東京にいるとこんなことは夢にも出来ない。
変わった景色やなくなった景色もあるが、それらから目を逸らすと昔のままの海が水平線の彼方まで遮るものもなく続いている。
今朝は陽射しも心地よいが、風がまた爽やかで心地よい。

柴犬を連れ透明の袋を持った筆者と同じくらいの年の人が向こうから歩いて来た。
さっき、心無い人が砂浜に置き去りにした花火や空き缶などを片付けていた人だと分かり、「おはようございます。ゴミの片付けご苦労様です。」と声をかけた。
この人のゴミの片付けは別に特別なことではなく、朝の散歩を心地よく、またこの海に訪れる人が少しでも気持ちよくとのいつもの行いなのだろう。
あの透明のゴミ袋が一杯になることも空のまま帰ることもあるのだろう。

その柴犬は白内障で目が見えないそうだ。
崖から何度も落ちたり、遠浅の海を何処までも歩いて沖に向かったり、ほっとけなくて大変だと言っていた。
彼も今朝の陽射しと風が特別爽やかだと感じているようで、もう梅雨明けかもとか、水害にあったところでの今晩の花火はやるのだろうかとか、この町の花火は明後日だとか、そんな会話を交わした。

そろそろ七時になる。
市場ではもう競りが始まっているだろう。
今夜は家人がやって来る。
新鮮な魚でも用意しておいてやりたいが、長雨の後どんな魚が並んでいることやら...。

by finches | 2010-07-17 08:39 | 時間


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