457■■ 地図にない橋

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ある大都市を流れる一級河川の上流にこんな珍しいアーチ橋があった。
隅田川で見慣れた鋼鉄製のソリッドリブ・タイドアーチ橋のコンクリート版とでも言えようか、分厚く力強いコンクリートアーチがピン・ローラーで橋脚に垂直力を流した後、更に恐竜の尾のように水平に伸びて左右対称な両径間部分を形づくっている。

引張力が働く垂直部材がコンクリート製だったか鉄製だったかを確かめることはできなかったが、どちらにしても関東大震災の復興事業で飛躍的な進化を遂げる我が国の橋梁技術に於いて、幾つもの挑戦的な試みがなされているのは知っていたが、その一つをこんな山奥で見ることになろうとは思いもしなかった。

船で鋼材を運ぶことができなかったこの山奥では、鋼鉄をコンクリートに置き換えての挑戦が行われたのだろう。
橋名を確認できなかったが、もし町史にある橋だとすれば大正13年にこの一級河川の上流域に架橋された永久橋としては第一号となる。

橋の下に回ってみると、何十枚という分厚い鉄板で補強されていることが分かった。
その補強がそれ程違和感なく感じられたのは、この橋の持つ潜在的力強さに後からの多少の付けたしや小細工など、痛くも痒くもないといった頼もしさからだろう。

その時代を代表するような建築土木遺産はまだまだ全国には残っている。
そして、それらを後世にそのままの形で受け継いでいく責任が今の時代を生きるものにはあるとつくづく思う。

現在に於いてこれ程のものは二度とつくれないという歴史遺産が不条理に壊されていく。
筆者にはこれからもそれらの持つ価値をただ静かに伝えるしか方法がないのだろうか。

  難しいことを易しく
  易しいことを深く
  深いことを楽しく

この三行を忘れずにこれからも日本の美しい文化を発信していきたい...。

by finches | 2010-08-25 08:16 | 時間


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