この建物は配水計量室と言い、大正13年に民間会社によって造られ、二年後に市に譲渡された水道施設だ。 この建物は市街地への給水量を計る為の施設で、口径400ミリの配水本管2本と350ミリの配水管1本を引き込んで計量が行われた。 この建物は市街地を見下ろす急峻な坂道の真ん中にあって、写真左を車が、右を人と自転車が通るように道が二つに分断されている。 また、この建物は八角形をしていながら、市民からは六角堂と呼ばれ親しまれている不思議な建物でもある。 この建物に使われている淡いピンク色のレンガは無焼成の日干し煉瓦で、そのピンクの発色の元は工場からの産業廃棄物であるスラグ(鉱滓・こうさい)を混ぜたことにより生まれたもので、因みに八幡製鉄所でもこれと同じレンガを大正期に作り、その色は青色をしていたそうだ。 一つの近代化産業遺産を通して幾つもの新しいことに繋がるヒントを得た。 通行に邪魔だからと壊すのは論外だが、例え移築して違う場所に残しても、それは本来の立地での力は失せる。 後から住み着いた人間の都合で、前からその場所にある建物が壊されたり移築されては堪らない。 この建物の地域や環境との共存のあり様、保存すべき意味の共有、そんな手本をこの直径5.7メートルの小さな建物は静かに伝えていた...。
by finches
| 2010-09-20 04:39
| 時間
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