信州の友人から冊子『安曇野の屋敷林』が送られて来た。 穂高、豊科、明科の三町と、堀金、三郷の二村が合併して生まれた安曇野市の屋敷林を調査しまとめたものだ。 改まって安曇野市などと言うのはどうもよそゆきでピンと来ないが、やはりここは安曇野という呼び名がピッタリと来る、そんな場所でのすばらしい取り組みだ。 送り状には、8年前から屋敷林を調査していて、やっとグループで資料化したので送ると書かれていた。 ページをめくると、巻頭の挨拶文でこのプロジェクトのリーダーを務めた友人が『先人の知恵が息づく屋敷林』と題して一文を添えていたが、それを読むとこれまでの8年間の取り組みを通しての思いが心地よく伝わってきた。 そして、そのお礼のメールでは思わず、すばらしいしごとをしたこと、それを羨ましく思うことを素直な気持ちで伝えた。 巻頭の別の挨拶文には次のように書かれていた。 「(前略)屋敷林は、陰影のある景観のためには欠かせない構成要素です。もしこれがなかったら、安曇野は平板な一盆地に過ぎないでしょう。北アルプスの峰々を背景にし、川や堰に沿う緑の回廊、その空隙を埋める屋敷林と寺社林、これらがあってこそ安曇野だと思います。(後略)」 各ページには様々な説明が添えられ、屋敷林と合わせてその近景や遠景には様々な安曇野の構成要素が溢れていた。 有明山と常念岳、蝶ケ岳など北アルプスの山々、土蔵、繭蔵、土塀、本棟造、雀返しなど独特の地域性を持つ築造物、風景にそっと置かれたようにある道祖神や火の見櫓、そんな安曇野をつくる構成要素が豊かに溢れていた。 お世辞は言わない、得心しない限り褒めもしない。 だが、このしごとはすばらしい、すばらし過ぎる。 筆者は焦る、自分も何かを始めなければ、何かをやらなければと...。
by finches
| 2011-03-31 04:29
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