659■■ かたつむり
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朝食前に雨上がりの森を歩いた。
ヒグマに恐怖しながらの渓流での釣りと違い安全が保障されている安堵感から、森の散策は自然の濃さにおいては若干劣るとしても、そこにあるのは紛れもなく天然ものであり、その新緑は清々しく美しく心も躍った。

視線を下にやると、様々な草花が咲いている。
大きな葉をつけたフキはそこら中にあるし、野生のミツバなどもある。
探せばセリやクレソンもありそうだし、野生のセリなどは香りから違うし、クレソンも爽やかな苦味と柔らかさがたまらない、とその味までも想像した。

タンポポも道産子のようにどこかしっかりとしているように思える。
その上でかい。
エゾタンポポは茎も太く西洋タンポポのように花の下の総苞片が反り返っていないせいか、どこか頭が重い感じがする、と勝手に思った。

そんな森の中の一角にフキの群生に混じって、トクサの群生があった。
そして、そのトクサの一つに小さなかたつむりを見つけた。
こんな風に自然の中にいる虫たちは生き生きとしていて美しい、と思った。

懐が深く広くて大きくて優しい北の大地。
少し薄暗い森の中の道は黒々としていたが、その道は森にあいた逆光の孔に向かって延びていた...。

by finches | 2011-06-02 12:33 | 時間


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