後記事の多い新聞にしては珍しく、翌日行われる「お田植祭」を報じる記事に目が止まった。 地図で調べるとそれは好きな道の途中で行われることが分かり、土曜の午後はこの「お田植祭」を見に行こうと決めた。 普段は持ち歩かない一眼レフをカメラバッグに入れ、麦茶を2つのペットボトルに入れると、図書館への寄り道を考えて少し早目に家を出た。 それは久し振りのドライブ気分で、海辺の町に続く旧道を通り、海原と広大な干潟を見下ろす斜張橋を渡り、両側に水を張った田んぼが広がる道を走り、進路を北東へと取った。 お田植祭が行われる場所は何度となく山辺の製材所へと通った懐かしい道沿いにあった。 東には杣山へと続く川が流れ、その川沿いに広がる平地は遠い昔から稲作文化を連綿と受け継いで来た古く長い歴史があった。 お田植祭はその先人から受け継いで来た米作りの歴史を未来に伝承すべき文化と捉え、健全な米作りを祭りとして伝え残そうとする試みであることを知った。 住吉大社(大阪)の御田植神事や、香取神社(千葉)や伊雑宮(いざわのみや)の御田植祭のような伝統的神事ではないが、土地に根を下ろした微笑ましい行事であり、祭だと思った。 「御田植祭」とはせず「お田植祭」としたあたりに、この祭りに関わる人たちの控えめな作法も感じた。 近く遠く地元中学生による田植を眺めながら、そして繰り返し歌われる懐かしい響きが心地よい地元中学生による田植唄を聞きながら、何か忘れていたものを呼び覚まされる思いが込み上げてきた。 そして、いい時間を過ごせたことに、その時間を与えてくれた人たちに、心から感謝した...。
by finches
| 2012-05-20 06:58
| 季節
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