901■■ 最終便

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別に怪しい店ではない。
東京からの最終便の機内を撮ったものだ。
それは、百二歳で逝った祖母の葬儀の帰りのせいか、覚めやらぬ二日間の余韻のせいか、最新鋭機のその照明の演出はまるで黄泉の国へと並行する随行者に用意されたカプセルの中にいるように感じられた。

体には少しだが疲労感があった。
珍しく朝食を残したこと、葬儀の途中で軽く食べた遅い昼食代わりのおにぎり、いつもの夕食からは大分早い精進落とし、食事の変調はそのまま体の疲れを引き出すように思えた。

斎場から火葬場までの移動は長く長く感じられた。
車窓の景色が都市から近郊農地へ、街から田園風景へと変わる過程で随所に取り残された野生に、近代の都市化とスプロール化の爪痕を実感した。
そして、それらは立松和平が描いた「遠雷」の風景と重なった。

疲労感は都会の尾根を縦走した疲れのように感じた。
それは直ぐに何かで癒したいと、早速「遠雷」の予約を図書館に入れ、同じく立松和平の「雲を友として こころと感動の旅」をアマゾンに注文した...。

by finches | 2012-06-06 05:40 | 無題


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