前稿に続き何故か聖橋…。 明け方に宮本輝の『泥の河』を読み終えたせいか、その中での大阪の川と橋と人々の暮らしへの余韻が覚めやらぬせいか、今朝は大阪の橋でも書こうと写真を探していて『大東京の十六大橋』という絵葉書が目に留まった。 その中の一枚『聖橋』に市電が写っていて、前稿の松住町架道橋の下を潜って相生坂を上って来た市電というのも何かの縁と、再び聖橋を取り上げることにした次第だ。 ところで、どうして相生坂と呼ばれるかと言うと、神田川対岸の駿河台の淡路坂と並んでいるからだ。 『相生』の意味が、「一つの根から2本の幹が相接して生えること、二つのものがともどもに生まれ育つこと」から分かるように、何とも洒落て粋な命名ではなかろうか。 早速『新東京市中央図』(昭和10年初版)で市電の路線を見てみると、松住町電停を出て御茶の水電停に向かう市電だということが分かる。 ついでに、この場所を『東京一目新図』(明治30年)で見てみると、聖橋はまだなく御茶水橋だけが描かれているのに興味を覚えた。 さて、絵葉書に話を戻すと、神田川右岸の鬱蒼としている部分が現在の御茶ノ水駅で、前稿版画に描かれた『聖橋』は神田川左岸から松住町方向を見たものとなる。 現在の聖橋は改修工事によって橋全面にモルタルが吹き付けられてしまっているが、この絵葉書を見る限り柔らかく味わいのある左官の手仕事が全体に感じられ、それがアーチの造形に表現派特有の人間味のある湿り気を加味しているように思う。 そして、そのこともこの聖橋が持っている懐の深さの一つなのだと思う...。
by finches
| 2012-10-18 08:15
| 遺産
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