日曜日、海を見下ろす温泉にでかけた。 太陽に干した布団を取り込める時間までに帰る、そのために昼を挟んだ数時間が当てられた。 「どこに行こうか」 「近場ならあそこがいいんじゃない」 と、その海が見える高台の温泉に決まった。 芽吹く準備を始めた木々の間を走り、遠くにこの地特有の形をした山並みを眺め、刈株が続く田んぼや若葉を一斉に出した麦畑やもう直ぐ芽を出すだろう真黄色な菜の花畑を思い浮かべながら、広い干拓地を横目に遠浅の海を眼下に斜張橋を渡り、美しい砂浜のある海へと向かった。 その海は中学一年の筆者が臨海学校に来た思い出の場所で、合宿した当時は国民宿舎だった高台に建つ建物と海との間の長く急な坂を一日に何往復もしたことを覚えている。 思えばこれも小学校から中学生活に入り心身共に鍛えんがための周到に準備されたカリキュラムだったのだろう。 当時、こんな綺麗な海があるのかと思ったことを今も覚えているが、長い年月を経て沖に浮かぶ小島も海の色も丸い水平線もあの時のまま変わらないように思えた。 立春を前にした穏やかな小春日和、石の防波堤の内側で風を除けながら弁当を開いた。 筆者たちは途中で野菜と一緒に買った、栗入りの御赤飯と恵方巻とサーターアンダーギーを分けて食べた。 そして、窓から冬木立越しに海が見えるサウナと、眼下に広大な海を見渡せる露天風呂を楽しみ、早目の帰路についた。 夕方までささやかな家庭菜園の手入れに軽く汗を流した。 作業を終えると鬼の面を被り、炒った大豆を小枡に入れた家人が待っていた。 そして、我が家恒例、節分の日の豆撒きが始まった。 鬼は外、福は内...。
by finches
| 2013-02-05 09:38
| 季節
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